サイボーグ

□第11話
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ラキスの誘導に従い、連れて来られたのは、直径2メートルほどの、円柱状の真っ白な部屋だった。
5メートルほど上の方にある入り口から、突き落とされた。
「副支店長の指示により、しばらくの間この部屋で反省してもらいます。」
ラキスの声が部屋に響いた。
「しばらくの間って、どのくらいだー?
こんな空間絶えられねーぞ!」
おれの叫びもむなしく、返事は返ってこなかった。
まるで牢獄だ……いや、悪い事をして拘束されたんだから、当たり前か…。

………。

「ヴィンセントさ〜ん。
お元気ですかぁ?」
1時間ほど経った頃に懐かしい声が響いた。
レックスだ。
「お〜レックス。
なんとか出してもらえねぇかなぁ?」
「今回ばっかりは何ともなりませんねぇ。
しっかり反省してください。」
レックスもこういうとこは厳しいなぁ。
「暇つぶしと言ってはなんですが、良い機会なんで、これでも読んでください。」
レックスがそう言うと、上の方から小さな正方形のチップが、何枚か落ちてきた。
「それは本です。
耳の裏にある差し込み口に入れる事で、目を閉じた時に本の内容が読める様になってます。」
へぇ〜、そんな機能もあったのか。
「サイボーグの機能についての本や取説などもあるので、しっかり勉強しておいてください。」
抜け目のない奴だな。
「ありがとう。
勉強させてもらうよ。」
おれは素直に感謝する事にした。

………。

「お兄ちゃん、この前はごめんねぇ〜。
私何も力になれなくって。」
景斗だ。
「いや、おれが悪いんだから仕方ねーよ。」
「お母さんから話は聞いたよ。
お兄ちゃんは何も悪くないのにぃ…。」
「まぁおれも楽しんだしな。
部屋をガチャガチャにしたのは、全部おれだし。」

………。

「ごめんね〜。
迷惑かけちゃったわね〜。」
鈴だ。
「いやいや、あんたには世話になってっからな。
このぐらい大した事ねーよ。」
「ありがとう。
そう言ってもらえると助かるわ。」

………。

「お兄ちゃんお兄ちゃん。
今日ね、レックス君に話しかけてみたの。
すごく良い人だったよ。
お友達になっちゃった。」

………。

「今日…景斗さんに話しかけられました。
すごく純粋で素敵な女性でした。」

………。

あれから何日かが過ぎた。
入れ替わり立ち替わり、面会に来てくれるから、案外暇はしなかった。
しかし…本も読み終わったし、そろそろ限界か…。
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