サイボーグ

□第2話
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「エリー…エリー・アース。」
突然エリーを呼ぶ声がした。
「はい…私を呼ぶのは誰?」
エリーは身体の感覚は全くないが、意識だけははっきりとあった。
「私はエディー・クリエート。」
何が見えるわけでもなく、においも何も感じない…ただ声だけが聞こえた。
「エディー…
もしかして世界初のサイボーグのエディーさん?」
「ええ…その通りよ。」
「そっか…亡くなってるエディーさんに会えるって事は、私…死んじゃったんだね…。」
エディー・クリエートは2135年1月17日の大地震で死んでいる。
「いいえ……エリーちゃんは死んでいないわよ。」
「だったらエディーさんも亡くなってなかったの?」
「いいえ……私は死んでるわ。
ただ……意識だけが生きてるの。」
「幽霊さんなの?」
「う〜ん…少しちがうかなぁ。
サイボーグになってから、すぐに私の身体は動かなくなり、意識もなくなったんだけど、回収した私の身体を、Ω社が再起動させようとした時に、私は意識だけが蘇ったの。
でも既に私の脳は停止していて、科学者達は、私の死を認識したわ。
意識だけとなった私は、コンピューター内を自由に動ける様になった…それが今の私よ。」
「コンピューター内を……。
それだったら、エディーさんと話が出来るって事は、私もコンピューター内にいるの?」
「コンピューター内にいるっていうより、コンピューターに繋がれてるって感じかな。
エリーちゃんは今、サイボーグになる為の手術中なのよ。」
「…………。
私…サイボーグになるの?」
「ええそうよ。
サイボーグにならなければ、死んでしまう程の傷をあなたは負ってしまったの。
サイボーグになるぐらいなら死んだ方が良かった?」
「ううん。
生きられるなら、どんな姿になったって構わないよ。」
「そう…それは良かった。
エリーちゃん…あなたの望みを叶えてあげる代わりに、私のお願い聞いてもらえないかな?」
エディーは突然そんな事を言ってきた。
「お願い?
私に出来る事があれば、何でも力になるよ。」
「ありがとう。
それじゃあエリーちゃんの望みを教えて。」
「何でも叶えてくれるの?」
「う〜ん…私に出来る範囲であれば。」
「お兄ちゃんを生き返らせて!」
エリーは切実に頼んだ。
エリーは銃撃を受け、意識が無くなる前に、兄アークが何発も撃たれている事を認識していた。
「大丈夫よ…あなたのお兄さんは生きているわ。」
「本当にっ!?
良かった!」
エリーは心から喜んだ。
感覚があったなら、涙を流していただろう。
「お兄さんもサイボーグの手術を受けているわ。」
「お兄ちゃんもサイボーグに!?
そっか…でも良かった…死んでなくて良かった。」
「それじゃあ他にエリーちゃんの望みはある?」
「う〜ん…私ね……魔法使いになりたい!」
「……。
…ふふふ。
世界一の天才と言っても、やはり10才の子どもには変わりないのね。」
エディーは思わず笑ってしまった。
エリーは8歳で大学卒業の資格を取得するほどの才女だ。
「やっぱりこんなお願いは無理かなぁ?」
エリーは残念そうに訪ねた。
「大丈夫よ…叶えてあげるわ。
魔法使いになって、何がしたいの?」
エディーは興味本意で訪ねた。
「魔法使いになって、世界中の困ってる人達を救うの。」
「そっかそっか。
やはりあなたを選んで正解だったわ。」
「それで…エディーさんのお願いって何?」
「それならもういいわ。
私の願いは、エリーちゃんがしようとしてる事だから。」
エディーは嬉しそうに答えた。
「私がしようとしてる事?」
「世界中の人達を救う事よ………。」
その言葉を最後に、エリーの意識はなくなった。
…。
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