サイボーグ

□第6話
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ヴゥーンヴゥーンヴゥーン
「何事ですかっ!?」
『芳志の旦那っ!
侵入者だっ!』
芳志の問いに反応するかの様に、何もないところから画面が現れ、威勢の良い声で答えが返ってきた。
声の主は、ガンマデルタのメインコンピュータのAI(人工頭脳)、愛称はガンタだ。
「侵入者!?
いったいどこから?」
『侵入場所はグランドラゴンの搬入口だ!』
「あそこには警備用のアンドロイドがいたはずですが?」
『アンドロイドは作動していなかったらしい!
侵入者は今そっちの方に向かってるから気を付けろよ!』
「アンドロイドが作動していないなんて……。
侵入者の人数は?」
『1人!
いや……1体だ!
恐らく侵入者はアンドロイドだ。』
ガンタはまるで人間の様に芳志と話している。
「アンドロイド……、侵入経路に警護班を配置して、捕獲してください!」
『了解!』
ガンタとの通信は途絶え、画面は消えた。
「侵入者なんて初めてです。
こちらの方に向かって来ているようなので、皆さん部屋から出ないでください。」
「って、工藤っ!
注意するのが遅すぎだ!」
芳志がエフィルの警告を認識した頃には、既にアークとエリーは部屋を飛び出していた。
「お兄ちゃん闘うの?」
「わからない……、今の僕に侵入者を止めれるだろうか?」
アークとエリーは廊下に飛び出し、侵入者を待ち構えた。
「今のシンクロ率じゃ、人並み程度だから厳しいかもしれないけど……、これを使えば、少しは闘えるかも。」
エリーはそう言って、手のひらから竹刀を作り出して、アークに手渡した。
「おぉ!
…ありがとうエリー。
これがあれば100人力だ。」
アークは竹刀を構えた。
「来るよ!
もう近くまで来てる!
すごいスピードで走って来てるよ!」
エリーにはエコロケーションの能力で感じる事ができた。
そしてアークの目でも確認出来る位置まで、侵入者が近づいてきた。
「やあああーーーー!」
アークは先手必勝と言わんばかりに、侵入者へと飛びかかった。
侵入者は人のシルエットをかたどった、真っ黒なボディーのアンドロイドだ。
ガンっ!
アークの横一文字が侵入者の腹部を捕らえた………が、相手の動きを止めたものの、アークは力負けし弾き飛ばされた!
「くっ!」
アークはすぐに体制を整え、次の攻撃を仕掛けた。
侵入者は軽やかな動きで、両腕をしならせ、猛スピードで攻撃をしてきた!
 
「なんて事だ!
今の内に増援を!」
部屋から出てきた芳志は、目の前の戦闘をみて慌てた。
ガンっ!ガンっ!バキっ!ガンっ!カンっ!
竹刀と両腕が弾きあう!
アークはなんとか竹刀で、侵入者の攻撃を防いでいる。
「おいおい、アークはまだ戦闘できるレベルじゃないだろっ!?」
アンドロイドと対等に闘っているアークに、エフィルは驚いた。
「戦闘経験なしにここまで闘えるもんなのか!?」
「戦闘経験ならあるよ。」
エフィルの疑問に、即座にエリーが答えた。
「お兄ちゃんは剣道、居合い、フェンシング……、様々な剣術の有段者で、しかもトップレベルなの。
スポーツとしての経験しかないけど、戦闘の場数は数え切れないぐらいあるよ。」
「そうなのか!
でもコレはスポーツじゃない!」
 
バキっ!
カラーン…。
竹刀が根元から折れてしまった!
「エリー!
もっと素材の硬い物をっ!」
「わかった!」
バキバキーーーーっ!
竹刀を失ったアークは、エリーに声をかけた瞬間、吹っ飛ばされた!
エリーは即座に科学反応式を頭ではじき出し、手のひらから物質を生み出した!
「お兄ちゃん受け取って!」
と言って、投げられたその物質はアークの手に渡った。
「ほぅ!刀かっ!」
そう、エリーは刀を作り出していた。
「っ!?」
「何だ今のはっ!?」
エリーの真横で一部始終を見ていた、芳志とエフィルは驚いた!
何もない所から刀が出てきたのだから、驚くのも無理もない。

吹っ飛ばされ、間合いが広がっていたアークに向かって、侵入者が飛びかかった!
アークは動じることなく、抜刀の構えをとり、侵入者が間合いに入った瞬間、刀を真横に振り切った!
バチバチっ!
刀は相手の右腕を捕らえ、切断した!
しかし刀を振り切り、スキだらけにのアークに、容赦なく侵入者の左拳が襲いかかる!
「ヤられるっ!」
と、アークが思った刹那…
バキっ!
鈍い音と共に、侵入者が吹っ飛んだ!
「なんだこれは?
このアンドロイドはぶっ壊していいのか?」
侵入者を吹っ飛ばした主が、芳志の方に向かって言葉を投げかけた。
「おおぉ!
ヴァンさん!
帰って来てたんですね!
なるべく捕獲してください!」
ヴァンと呼ばれた男は、髪がツンツン逆立っており、目鼻立ちのくっきりした、少し目つきがキツイ表情をしている。
「捕獲か…面倒くせーなぁ。」
ヴァンは面倒くさそうに頭をかいた。
よく見ると、ヴァンの姿はボロボロで傷だらけだった。
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