サイボーグ

□最終話
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「僕の幼なじみで、スパイタイプのサイボーグのイランです。」
「へぇ〜。
はじめまして。
景斗です。
お兄ちゃんの事、何か知ってるの?」
景斗は頭を下げて挨拶した。
「二人に伝言を預かっているよ。
“おれの部屋で待っていてくれ”だそうだ。」
レックスと景斗は顔を見合わせた。
「従うしかありませんね。」
「うん。」
そして3人は、ヴィンセントの部屋へと向かった。


「イラン!
ヴィンセントさんから何か聞いてるんですか!?」
レックスは、部屋に着くなりイランに訪ねた。
「残念ながら今現在の彼の行動の意図は、僕にもわからないよ。
ただ、昨日彼と話した内容を聞けば、答えが出るかもしれないね。」
景斗は思った……変な話し方だなぁ…。
「是非聞かせてください!」
「わかった…。」


昨日の事…、窓もない白塗りの円柱状の部屋で、僕たちは長い間沈黙していた。
「あんた女だろ?」
ヴィンセントは不意に話しかけてきた。
「何故そう思うんだい?」
スパイタイプのサイボーグは、任務でどちらかの性別になっている時以外は、無性別で中性的な状態を維持している。
「いや、なんとなく。」
「君はいつも曖昧な見解をするね。
しかも曖昧にも関わらず確信めいている。」
「ただ自分の感覚に自信を持ってるだけだ。」
「その自信がどこからくのか不思議なものだ。
……君の言う通り、僕は女だ。」
「やっぱりな。
レックスとはどういう関係だ?」
「突然何だい?
それを聞いてどうするんだい?」
「ただ知りたいだけだ。」
別に隠す理由もないか。
「レックスとは幼なじみさ。
まだこのタワーが病院だった頃、病弱だった僕は、生まれながらに入院を余儀なくされていた。
つまらない入院生活だったけど、レックスがよく遊びに来てくれていたから、随分と救われたよ。
その救いは僕にとっては、計り知れないくらいだったよ。
だから僕は彼の為ならなんだってできる…。」
「それがレックスへのこだわりか…。
まぁ理由は何だっていいんだが、景斗と協力して、レックスの力になってやってくれないか?」
「レックスの力になる事は言われるまでもないよ。
しかし工藤景斗と協力しろというのはどういう事だい?」
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