サイボーグ

□第4話
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さっきはこのぐらいで止めたが、おれはもう一踏ん張り力を込めた。
一瞬意識がとびそうな感覚にとらわれたが、握りしめた右手に、自分でも計り知れない力が伝わった。
その瞬間、おれの思っていた通り、測定器を握りつぶしてしまい、壊れてしまった…。
「あっ…だ、だから言ったじゃねーか…おれはいちを忠告したからな…」
おれは軽く責任逃れをした。
「どういう事…?」
鈴が不思議そうに壊れた測定器を手に取り眺めていた。
「つまり100%以上って事じゃないの?」
「100%以上なんて事は物理的にありえないわ…明日詳しい検査をするから、景斗はそのつもりで予定を組んでおいて。」
鈴はそういうと測定器を持って部屋を出て行った。
「やっぱお兄ちゃんはただ者じゃなかったね〜。」
何故か景斗は自慢気に言った。
「100%を超えるって事はサイホーグの中で一番強いかもしんないよ。」
サイホーグの中で一番強い…
サイホーグを超える力…
おれはサイホーグになった日に見た、夢の事を思い出していた。
夢にでたエディーとかゆー奴が、本当にサイホーグを超える力をおれに与えてくれていたら…
「…ぃちゃん、お兄ちゃんってば!」
「あっあぁどうした?」
おれはぼ〜っとしていたらしく、景斗に怒鳴られてしまった。
「明日、午前中に検査するから、ちゃんと起きといてよ。」
検査か…おれはいつまでこの環境に縛られるんだ…
とにかく自分の身体の事もわからない以上、今は従うしかないか…。
「わかった。」
おれが返事をすると、景斗はヨシっと頷き部屋を出ていこうとした。
「あっ忘れるとこだった!
またお母さんに叱られるとこだったよ…」
っとドアの前で立ち止まり、引き返してきた。
「お兄ちゃんの素性がわかんないんだけど、住所と生年月日とフルネームを教えてくれる?」
「生年月日は2129年7月1日。
住所は特にないし、名前は小さい頃に自分で付けたから、本当の名前はわかんねー。」
名前は施設の先生が付けてくれていたが、4歳くらいの時に
『自分の名前だから自分でつける。』
と言って、その時からヴィンセントと名乗っている。
「名前も住所もわかんないんじゃぁ調べようがないよ〜。」
景斗は困って、情けない声をあげた。
「ってゆーか、お兄ちゃん、私と同じ生年月日じゃん!」
「はぁ?
お前みたいなちんちくりんとタメなわけねーじゃねーかっ!?」
歳は近いとは思っていたが、まさか同い年なはずはないだろう。
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