サイボーグ
□第7話
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「あんた何者だ?
何故そこまで必死になる?」
「僕は表向きは研修中の新人となっていますが、実はこのタワーの社長をやらさしていただいてます。
あっ、社長と言ってもこのαはΩ社の支店ですので、正確には支店長ですけどね。」
レックスは少し照れながら言った。
「信じがたいな…あんた歳は?」
「17です。」
若いな…ますます信じがたい。
「わかった…見学がてら、あんたの社員を見てやるよ。」
どちらにしても、おれは自分の体の事をもっと知る必要があるからな…タワーを見わたせば、いろいろわかる事もあるだろうし、こいつにもいろいろ聞けそうだ。
「ありがとうございます。
では早速行きましょう。」
嬉しそうなレックスに手を引かれ、おれたちは部屋を後にした。
検査が中断された事で、半日時間が出来た為、タワー内を見学するには充分な時間があった。
レックスいわく
「細かく見れば、10日以上はかかるんですけどね。」
という事だが、そんなに細かく見学させられたんじゃ、おれの頭がおかしくなっちまう。
「ヴィンセントさん。
何か質問とかありませんか?」
見学しながら、しばらく沈黙していたせいか、レックスが話しかけてきた。
「おれはこのタワーから出たいんだが、何かいい方法はないか?」
強行手段で抜け出すつもりだったが、レックスが本当に支店長なら、なんとかなるかもしれない。
「それは個人的に私用で外出するという事ですか?」
「まぁそう言うことになるな。」
「目的を教えて頂けますか?」
目的かぁ…
「親友を探し出す事。
ある女を救う事。
この国を救う事。
この三つだ。」
後の二つは夢の中で、エディーとかいう奴と約束した事だ。
「最後の“国を救う”っていうのは興味深いですねぇ。
それでしたら長期の外出になりますね。」
「事が終わり次第、すぐにでもここに戻って来るつもりだ。」
景斗とも約束したしな。
「方法はなくはありませんが…いくつか条件があります。」
条件…あまり好きな言葉じゃないな。
人を縛る言葉だから…。
「どんな条件だ?」
「この国に潜む敵国のスパイなどの先滅、及びサイボーグに関する事件、事故の解決。
これらの事を秘密裏にこなしてもらいたいのですが。」
はっきりとは約束しがたい条件だ。
「それはおれの目的の合間にやる程度にしかできねぇぞ。」