サイボーグ

□第9話
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「もしかして…景斗さんの事ですか?」
「そうだ。
あいつはすごい奴だよ、実際。」
こんな事、景斗本人の前で言ってしまったら、あからさまに調子にのられるので、言えたもんじゃない。
「景斗さんなら心強いですね。
彼女は飛び級組の中でもトップクラスでしたから…。」
飛び級組?
確か若くして大卒までの資格を得るためのエリートコース。
景斗はそんなにすごい奴だったのか…。
まぁ今の歳でこんな所で働いてるんなら、それも頷ける。
「あんたもその歳で支店長になるぐらいだから、よほど優秀だったんじゃないのか?」
「いえいえ。
僕はよく言っても中の上ぐらいですよ。
景斗さんは常にbQでしたけどね。」
bQか…大したエリートっぷりだなぁ。
「1位になる事はなかったのか?」
「はい…。
エリー・アースという名前をご存知ありませんか?」
エリー・アース…確か…
「一時期天才児ってもてはやされた女の子の事か?」
あまり世間の事に興味を持たないおれでも、その名前には聞き覚えがあった。
「そうです。
彼女は正に天才で8歳の段階で大卒の資格を取得しました。」
「へ〜大したもんだなぁ。
景斗もそいつにはかなわなかったって事かぁ。」
「おそらくこの世に彼女を越える天才はいないでしょう…。」
「天才か…
一度でいいから会ってみたいもんだな。
確かまだ10歳くらいじゃないのか?」
「はい…今年で10歳になります。
もののついでに言っておきますが、その子の捜索も、あなたの任務の中に含まれています。」
捜索…?
人捜しは畑違いじゃないのか?
「どういう事だ?
行方不明なのか?」
行方不明だとしても、サイボーグのやる仕事とは思えない。
「実は…
彼女とその兄であるアークは、半年ほど前にサイボーグになったのですが、先月施設を脱走したんですよ。」
「そうか…それでその兄弟の捜索も、おれの任務に含まれると…?」
「はい…。
しかし拘束するのは難しいでしょうねぇ。
実は二人とも…Eタイプなんですよ。」
なにっ!?
Eタイプだと!?
だったらその2人もエディーの声を聞いてるって事か!?
どちらにしても一度会ってみる価値はありそうだ。
「あっ、そう言えばEタイプの新しい情報が得られましたよ。」
「新しい情報?」
「はい。
Eタイプは科学では解明出来ないような能力を持っていますが、その能力は火星では一切失われてしまうんですよ。」
火星では能力を失う…一体どういう訳だ?
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