短編小説
□季節外れの雪
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「よし!おわったおわった〜!」
幸せそうな2人が結婚式を挙げている
それを少し離れたところで見ている私と『同業者』の男
彼は満足そうにその光景を眺めていた
話は割愛するが、あの2人は結婚が許された2人ではなかった
それを同業者の彼が『幸せ』にしたのだ
――それが私たち『天使』の役目――
「ふぅ〜、これで天使のノウハウはわかったかな?」
「……一応」
「じゃあ僕は『幸せの力』を使い切ったから、先に『空』に行くね」
私たち天使は生まれた瞬間から『幸せの力』を与えられ、その力で現世の人間を幸せにすることができる
力の量によって、幸せの度合、幸せにできる人の数が決まっているが、与えられる力の量はバラバラ、多ければ多いほどいっぱい幸せにできる
私の量は
「君の力は結構多いね、その分だと地道に幸せにしていけば…1年はかかるんじゃないかな?」
天使はその力を使い切ると『空』へ行くことができる
その先に何があるのかわからないけど、天使は空を目指して幸せの力を使うのだそうだ
「いろんな人を幸せにするもよし、1人の人に集中するもよし、これからは1人だけど………がんばってね
それじゃあ。」
光の柱に包まれて、彼は空にとけて行った………
その光景を見た私は羨ましいと思うと同時に………
………何故か切なかった