FFY

□証
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苦しそうなエドガーの顔が映る。必死で自分を離すまいとしている彼をどにかしてあげたくて、ロックは手を伸ばした。

「えっ、ど………っ!」

最後まで呼ぼうとして、出来なかった。


「………っっ!」

一際大きくうがたれて、中に吐精される。ロックは生暖かいエドガーのものを、奥ですべて受けとめた。無意識に尻の穴を痙攣させて、残らず絞り出させる。
ロック自身も知らぬ間に、戒めていた手を解いて達していた。かなりの量の精液が、自分の腹を汚した。二人は荒い息をつく。
エドガーは出すものがなくなっても、ロックの中から引き抜こうとしなかった。萎えるどころか、いまだ己を主張している。
なおも腰を動かそうとするのを、ロックが制した。疲れで朦朧とする意識を留めて、左手でエドガーの頬に触れる。
相変わらず厳しい形相でいる彼の顔を、解すように指を滑らせた。

「も、し、離れたっなんて…、後ろ向き、なこと…、アッ…言う、なよ…」

乱れる呼吸を無視して、ロックは言葉を口にする。

「現実は分からない…」

エドガーはまだ不安を訴えた。
ロックは虚ろな目で彼を見つめて、苦笑する。

「仕方、ねぇな」

何を思ったのか、ロックはエドガーの耳たぶへと手を持っていき、はめ込まれてるピアスの一つを器用に外した。
自分のピアスも同じように外し、苦しい体勢のままそれをエドガーの耳へと飾る。

「…これで、いいダロ…っ?」

エドガーは目を見開いて動きを止めた。
今までロックの耳にあった赤いピアスが、エドガーの耳元で光る。

「これで、おれと、つながってる…」

こんな状況でも、ロックは微笑していた。
金の台座に血の色のガーネット。石にはロックの血液が通ってるかのようだった。
エドガーの耳に与えられたものは、金属からは感じられないはずのぬくもりを感じた。

「ほら…、お前の手で、俺にもつけ、て…」

エドガーのピアスを握り締めた手は、差し出される途中でシーツに落ちた。
疲労のためか、ロックは意識を手放していた。身体は死んだように動かない。
エドガーはようやく彼の体から自分を離した。
緩みきってしまったロックの穴からは、エドガーの放った精液がゴプリと溢れ出た。だらだら垂れるそれをそのままに、エドガーは彼の握られた手をほどく。
中から現れた蒼い宝石を取り、言われた通りロックの耳に丁寧につけた。外れないよう金具をしっかりと止める。
エドガーは月の光で白く見えるロックの頬を撫でた。
気休めだと分かっていても嬉しかった。同時に切なくもあった。
エドガーはたまらなくなって、ロックの頭を掻き抱いた。
唇に、短い銀の髪が触れる。
胸が締め付けられそうな想いに、碧色の瞳からは一筋の涙が伝っていた。



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