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□たとえどんなことがあっても 後編
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「ん………」

捕らえられてから、いったいどのくらいの時間が経ったのだろう。
ようやくマッシュが目を覚ました。
薬のせいか、頭痛の激しい頭を振って、なんとか目を開けようとする。
覚醒すると、身体のあちこちにも痛みがあることに気付いた。
ゆっくり目を開けると、コンクリート剥き出しの床が見える。
冷たい。
感触も戻ってきた。
少し眼球を動かせば、誰かの膝が映った。
膝にかかる長い銀の癖っ毛でセッツァーだと分かる。
無事かと彼の全身を確認するために顔を上げた。
マッシュは驚いた。
彼はすでに、マッシュよりも早く意識を取り戻していたのだ。
眉間には深い皺を刻んで、前を見据えていた。
身体の痛みに耐えているようではなかった。
ぐちゅ、ぶちゅ、という音がマッシュの耳に入り、セッツァーの表情が更に渋くなる。

「下衆どもめ…っ」

低く絞り出した言葉に、マッシュはセッツァーの視線の先を追った。
そこでは信じられない行為が繰り広げられていた。

「………っ!!」

咄嗟に飛び出していこうとして、身体がびくともしないことに、柱に拘束されてるのだと知る。
それでも、もがいた。
目の前にはロックがいた。
彼は全裸だった。
ただそれだけではない。
ロックは口に、尻に、男の性器をくわえ込んでいた。
獣が交尾する体勢で犯されている。
酷い揺さぶられようだった。
口からは唾液とも精液ともつかないものが、ひっきりなしに滴り落ちている。
尻の穴の周りもグチャグチャだった。
結合部分は血が混じった精液が泡を立てていた。
無惨に捲れ上がった肉襞は、真っ赤に充血し肉棒に絡み付いている。
マッシュは声が出せなかった。
口を犯していた男がロックの頭を掴み、腰を大きく動かした。

「ん"、ぐ…っ、ん…っ」
「すっげ〜…。喉の奥、締まる…」

男は悦に入って目を細めている。
力強く腰を打ち付け、亀頭で咽喉を突いた。
ロックは苦し気に顔を歪ませて、潰れた声ともつかない声を出す。外から、喉が異物を押し出そうとする動作が見てとれた。
男はロックに構わず腰を使った。 
側頭部から後頭部に手をずらし、もっと深くと勢いをつけて腰を突き出す。

「おご…っ」

食道まで届いたペニスに、ロックは嘔吐感が込み上げた。
身体は本能に従い、異物を吐き出そうとする。
そうできないと分かっていても。
ロックがえづくたびに、男をくわえ込んだ喉と尻穴が締まった。
尻穴を犯していたダイアンという男は、気持ちよさ気に背を反らせ、自分の欲望のまま腰を振った。男の股間とロックの尻とがぶつかる音が、行為の激しさを伝える。
男に興味はないとか言っておきながら、すっかり虜になっていた。
突然、息苦しさが増してロックは顔をしかめた。
鼻で呼吸することも許さないように、めちゃくちゃに喉を突かれる。

「おおおぉぉぉおっ」

はたから見れば滑稽なほどに高速に腰が動き、男は獣じみた声と共にロックの食道に吐精した。
流し込まれた精液は胃が拒絶し、すぐに逆流する。
イっても余韻に浸っていつまでも抜かないペニスと、口のほんの少しの隙間から、胃液と唾液と精液とが入混じった大量の汚物が溢れた。
男はロックの頭を撫でくり回しながら、ゆっくりペニスを抜いた。

「げ……っ、おげぇ…ぁ」

ようやく楽になった口は、呼吸をするより先に胃の内容物を吐き出した。

「………っ、ロックっ!」

マッシュが叫んでいた。
やっと、ようやっと声が出せた。

「あ〜あ。起きちゃったよ」
「やめろよ、お前らっ」
「…へぇ?あんた、ロックの知り合い?」

驚くでもなく、ジェイクはロックを親しげに名で呼び、口の端を引き上げる。

「ロックから離れろ!」
「あああっ!」

ロックが矯声を上げた。
ダイアンがロックのペニスを掴み扱きながらさらに奥を犯し、ジェイクが乳首捻りを潰したのだ。
身体を痙攣させ、歯を噛み締める。
ロックはこんな仕打ちにも射精していた。

「ほら。あんたの友達、気持ちいいって」

ジェイクはロックが放った精液を手に絡め取り、マッシュに見せつけた。
淫猥な白濁とした液が、ぬらりと光る。

「止めろよ、止めてくれよ…」
「止めろと言われて止めるバカがどこにいるってんだ」

ダイアンが下品に笑った。
ロックの臀部を叩き、太い肉棒は穴を拡げて腸壁を擦る。
ダイアンの張り手は、ロックの尻が変色するまで続けられた。

「どうすればいいんだ…」

見ていることしか出来ないマッシュは、涙を流していた。

「これで分かっただろう?お前が言った言葉が、どれだけの失言だったか」

セッツァーが残虐な行為から目を反らさないまま呟いた。

「お前はこれを見ても、昼間と同じことが言えるのか?」

問いに、マッシュも目を反らさぬまま、弱々しく首を振った。

「…俺に出来ることは?」

助け出せることも出来ないのに、何かしたくてマッシュはセッツァーに聞いていた。

「取りあえず黙っとけ。なにも喋るな。お前が口を開けば、ロックが苦しくなるだけだ。黙ってこの現実を目に焼き付けとけ。二度と失言をしないようにな」

マッシュの頬には、滝のように涙が伝っていた。
自分の無知さ加減が悔しくて。
なぜロックがこんな目にあわなければいけないのか悲しくて。
マッシュはセッツァーに言われた通り、ただ目を背けずに非道な行いを胸に刻み込んだ。

「イイこと思いつ〜いた」

ジェイクがバカにした節をつけて、その場にいた者の注意を惹いた。

「せっかくお友達がいるんだからさぁ。ロックの淫乱な姿を、間近で見せてあげようよ」
「いいな、それ」
「穴から俺たちの精液を垂れ流すところも見てもらおうなぁ」

ジェイクの提案に、貴族たちは嬉々とした声を上げた。


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