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□お泊まり大会
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「いいか?絶ッッ対!!妙な真似をするなよ!!」
「はーい……」
ポップの家の前でポップに厳しくそう言いつけられた後、俺はその中へと入った。玄関にてカブが可愛らしく出迎えてくれたので、抱き上げて髭をじょりじょりしてやる。
「キャー!キャハハハ!」
「う〜りうり、お前はパパと違って素直で可愛いなあ〜!」
「余計な世話だ!息子にも変な事をするな!」
「しねーよう、俺にはお前がいるも…いいだだだだだだ痛い痛い」
上機嫌になり、カブを抱いたままふざけてポップに顔を近付けたら、ポップはクスリともせず俺の頬を強く引っ張った。容赦ねぇ。
「女たらしのどの口が言うんだどの口が!大体カブの前でそういう事を言うなと何度言ったら」
「悪かった悪かったって!豆腐ボディなんだからそろそろ千切れるやーめーてーっ!」
ポップはふん、と鼻を鳴らすと、ようやく離してくれた。赤くなってひりひりする俺の頬を、カブが優しく撫でてくれる。

事の発端は、あの馬鹿ヘラジカが俺の家のテレビをぶっ壊した事から始まる。電気屋でーすとかいいながら勝手に家に上がり込み、しかも予想通り回線をめちゃめちゃに弄って消えやがった。普段ならまだいい、問題は…
「今日は金曜ロードショーでBuddhist monkeyやるんだよォーー!!」
「五月蝿い馬鹿。静かにせんとテレビ貸してやらんぞ」
「えっごめんなさいごめんなさい!それはやめて!」
どうやらポップはさっきから慌てる俺様を見て楽しんでいる。くそう、しかしここは反抗する訳にはいかないぜ…仕返しは後にしておいてやろう!
「カブ、今日は何が食べたい?」
「だー、だー!」
「クリームシチューか、最近好きだな。じゃあ買い物行くぞ」
「あーい!」
この親子と一緒にいるといつも思うんだが、よく聞き取れるな。親子の愛か?
「俺もいく!ていうか手伝う!」
「なんだいきなり、いつもは絶対手伝わない癖に」
「えー、なんつーか…ご機嫌とりみたいな?」
「そんなとこだろうと思った…精々頑張れよ」
また怒られるかと思いきや、ハッ、と蔑むように笑われた。なに、ポップったらドS覚醒?それはそれで美味しいけど…。

「カブ、商品に触っちゃ駄目だぞ。ディスコ!ムーンウォークで店内を徘徊するな!!」
「Oh yeah…君の頬はこの林檎のように可愛らしいたたたた」
「口説くな!くそっやはり連れてくるんじゃなかった…!」
その場に女の子がいたら手がでちまうんだって、お前は特別だよ…って言おうと思ったけどポップが般若みたいな顔して俺をペチュニアから引き離すからやめといた。今ポップに殺されたら映画見れないし。
「幼児のカブより問題起こすってどういう事だ!お前はろくに買い物も出来んのか!」
「うあーそんな怒るなって…わかったわかったちゃんとやるよ」
いけないいけない、つい調子にのっちまう。昔っから無意識に人の気を引くような事ばっかり…あ、もしかして昔からポップの気を引こうとしてたのか?
「あー、なるほど」
「今度はなんだ…いや、言わなくていい帰ってからにしろ」
「なかなかひでーぜポップ…」
ずっしり重い袋は俺が持ち(この時だけはポップも少し楽そうだった)、日が傾く中ポップの家へと歩く。道中様々ある死亡フラグを神回避し、ポップはカブをしっかり抱っこして、なんとか家にたどり着いた。
「ひさびさに…ふう、こんなスリルを味わったぜ…」
「ああ…さて、晩飯を作らねば」
「あー…」
めんどくさ…いや、駄目だ映画のため!あとポップの機嫌のため!俺は腕捲りをした。
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