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□世界で一番?
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今日はせっかく夜のロマンチックデートなのに…なんなんだ、さっきから後ろにいる男は。
「ねぇモール、ネズミに知り合いっている?」
「…?いえ、多分…」
「なんか後ろからずっと着いて来る奴がいるんだよねー…」
俺の知り合いじゃないしモールの知り合いでもない。あいつは誰だ?

「勘違いでは、」
「いや…モールには悪いんだけど、さっきから同じ所歩いたりしてもずっとだよ」
「ああ道理で…違和感がありましたよ」
全くどうしてやろうか。すぐにでもモールを押し倒してやりたいくらいなのに、あの邪魔者のせいでずっとお預けだ。

「……あ、」
「どうしたの?」
「すみません、そのネズミさんの特徴を挙げてもらえますか?」
「えーっと…」
長いトレンチコートに高い帽子、長髪、
「赤い目」
「……まさか」
突然モールが立ち止まった。長く付き合った経験から察するに、かなり驚いている。
「知り合いです、が…彼は死んだ筈」
「死んだって…随分と変な事を言うね。この世界で」
「いいえ、ここではない…まともな死が訪れる世界です」
モールは目を伏せた。モールがここに来る前のことを、俺は知らない。何をしていたのだろうか…あのネズミとはどんな関係なんだろう。

「会いたい?」
「……いえ、巻いて頂けますか」
「よっしゃ、捕まって」

「え、わあっ」
俺はモールを抱き上げると走り出した。俺は天下の大鹿、走りならそれなりに自信あるのさ。慌ててハムスターボールで追いかけて来る奴には負けるか!



「よし、もう大丈夫かな」
「すいません、重くないですか?」
「んーん?モール細いもん」
林の中に逃げ込むと、追っ手が消えた事を確認してモールを降ろした。モールは静止して何か考え込んでいる…あのネズミの事だろう。

「モール?」
「………」
「モールったら!」
「わ、すみませんなんです…っ」
慌てて振り向くモールを引き寄せて、キスをした。何も考える隙がないように、なるべく激しく。

「ごめんね、俺限界。ネズミの事は後で考えてくれる?」
「ランピーさんっ…!」


なるべく痛くない様に、モールを草原に押し倒した。
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