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□ハッピーバレンタイン
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「さあフリッピー君、私のチョコレートを受け取りたまえ!」
「スプレンディドさん!ありがとうございます、僕も作って来たんです!」
本日、バレンタインデー。世のカップル達はチョコレートを交換しあい、いつもより濃厚で甘ったらい一日を過ごす。それはもちろん、こんな狂った世界でも同じ事。

「はいっどうぞ!」
「ありがとうよフリッピー君、私のを開けて見てごらん?」
フリッピーは喜々として箱を開けたが、次の瞬間笑顔が凍り付いた。スプレンディドは驚きもせず、その様子をむしろ楽しそうに眺めている。

「…スプレンディド」
「なんだいフリッピー君?」
「てめえ、喧嘩売ってんだろ?あ?」
箱の中にあったのは、普通のチョコレートだった。ただ、精巧なナイフの形をしている事を除けば。
「やだな何の事だい?私は君が喜ぶと思って…おっと」
「うるせぇよこん畜生が!丁度良いこれでぶっ殺す!」
覚醒したフリッピーはチョコレートのナイフを振り回すが、スプレンディドは身軽にそれを避ける。
「フリッピー君、そんなに握ったら溶けてしまうじゃないか」
「チッ、持ちづれぇな」
「私は凶器として使うんじゃなく美味しく食べて欲しいんだけどなあ」
「アホか。……待てよ、てめえが大人しく俺に殺されたなら食ってやろうか」

血は俺にとって最高の調味料だからな。


果たして英雄はその日初めて殺人鬼に殺された。それが彼等の幸せの形ならば、何人たりとも口出しは出来まい。
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