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□夜の秘め事。
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「さーて、今日も俺様マジかっこいいYeah!」
「人の家の洗面台で踊るな。倒したシャンプー戻せよ」
「………」

ディスコ・ベアーの家が先日の大嵐で粉々になってしまい、ポップは仕方なくディスコを家に泊まらせていた。しかし、今は後悔している。

「早く住家に帰れよお前…」
「ハンディーが今直してくれてんだけどよぉ、あいつよく木から落ちて死んじまうんだよな。お陰で進まねーんだ」
軽く笑うディスコは、どうやらこの家を気に入っているようだ。踊ったり跳ねたりすればすぐにポップの鉄拳が飛ぶのに、どうしてなのかポップは首を傾げた。

「さてカブ、お散歩に行こうか?」
「おっ、俺もいくぜー!」
「お前は働けこのニート」
ディスコをスパッと切り捨てると、ポップは煙管を咥えて愛息子を抱き上げた。

(この前のバレンタインの時は散々にアプローチされたが、やはりあいつはあいつだ)
公園でカブを見守りながら、ポップはふと思う。全く相手にはされないが、やはり彼には女性が合っているのだ。結婚もしていないけれど、きっとするつもりはないだろう。ポップは一人笑ってから、ハッと危険に気付く。

「カブ!それは綺麗だが触っちゃいけないんだ呪われてるかrぁあああ!!」




「やーっと大体完成したぜぇ…ん?ポップ?」
「ディスコ…聞いてくれ、やっと我が息子を災難から守りきれた!!」

ディスコがポップの家へ戻ると、珍しくポップが満面の笑みで迎えてくれた。ディスコがぽかんとしてる間にポップは喋りながらさっさと食卓へ連れて行く。よほど嬉しかったのか、夕食の間ずっと喋りっ放しだった。

「それで……おやカブ、眠いのかい?」
ふみゅ、と妙な声を出して目を擦るカブを抱き上げると、ポップは寝室に向かった。ディスコはその後ろ姿を見ながら、ついさっきまでの満面の笑みを思い出す。

(何年ぶりだろう、あいつがあんなに笑顔になるなんて)
(カブには親の顔で笑うし、俺には苦笑とかが多いしなあ)
(今の、他の奴等は見たことねぇだろーなあ)
ポップは基本的に精神面では一番大人なので、町の住民には近くに住むおじさん、という風に挨拶される。同い年でもディスコとは凄い違いである。






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