IN病院の話。
現地に着くまで俺は「めっちゃ恐いよ?」
とか「アソコはマジヤバイ」
とか友達を煽って怖がらせていた。
しかし現地に近づくに連れて言い出しっぺなので消して口には出せなかったが「戻りたい」気持ちが大きくなっていた。
現地に着くと二つの病棟があった。
第七病棟と第六病棟だ。
第七病棟は取り壊しの途中かそれとも荒らされたか
便器が飛び出てたり古い千羽鶴が山のようになっていたり外観が凄い状態になっていた。
第六病棟は比較的きれいでガラスが割れている程度だった。
第七病棟と第六病棟の間には渡り廊下のようなモノがあり友達数人はそこら辺を探索していた。
俺は「ココで見てる。でも一人はイヤだ」
とチキン野郎精神丸出しで友達一人をつかんで放さなかったが、援軍を呼ばれて「いやだ!いやだ!」と叫ぶのも虚しくずるずると逆に引っ張られて第七病棟の入り口まで連れて行かれた。
入り口の前にさしかかったとき右から「ウォーウォー」という10人くらい男の声がした。
俺は耐えきれず友達をマジで振り払ってもとの遠くから見える場所に戻った。
(実話なので俺の腰抜け具合に腹が立つかも知れません)
遠くから見える場所に戻ると探索してた奴等も戻ってきて俺を口々に罵ったが真面目に危険を感じた俺には
プライドより命をとった。
「全然恐くないじゃん」「ガッカリしたんだけど」
と追い打ちのように言われ俺のメンツは丸つぶれ。
更に一刻も早くその場を離れたかった俺は
「じゃ、じゃあ帰ろう!」と行って麓まで降りてしまった。
しょうがなく着いてくる友人達。
下に着くと更に俺は罵られた。
(これで明日から俺の今までの地位は無くなったな)
と思いながら、俺は罵声を浴びつつ恐いので帰ってしまった。

そして翌日

いつも通りに学校に行くと
昨日の俺を罵っていた三人のうちの一人が
俺をビビリ呼ばわりすることなく罵ることなく
普段通りに接してくれた。
とても不自然すぎるので俺は
「昨日あの後どうした?」と探りを入れた。
すると彼は語ってくれた。
彼ら三人は俺と別れた後、あまりにもの足りなかったので、病棟の中に侵入したらしい。
はじめは壊れまくっている方の第七病棟に入った。
中も大分荒らされていて暴走族の落書きやら、
割れたガラスやらで
ある程度進むと「これ以上は無理」な状態になったらしい。
しょうがなく引き返す三人。
しかし当然物足りなさは満たされてないので
第六病棟にも侵入することにした。
一回の入り口は全て完全封鎖されていて
少なくとも第七病棟みたいに侵入できそうには無かった。
考えた挙げ句二階からの侵入を決意、
開いてる窓から侵入すると、ソコにはソファが一つと黒電話が地面に放り出されて居るだけ
だだっ広い部屋。後はドアが二つだけ。
その部屋を三人は物色することにした。
黒電話は電話線が切れていて、
いや切れて無くても電話することは出来ないだろうが、「これでかかったら恐くない?」的な精神で
かけてみることにした・・が当然かかるわけがない。
後はソファがあるだけなのでドアを開けて次の部屋に行くことにした。
ドアを開けるのにはサスガに恐怖心があるらしく、
じゃんけんをして決めた。
渋々とドアを開ける。
ガチャリ。
ノブを握りしめ一気に引いた。
突然一人の赤い服を着た男が目の前に現れた。

鏡だった。
一同一瞬凍り付いたが、気を通り直してもう一方のドアを開ける。
「負けたんだからまたお前な」ということでまた開けた。
ドアを閉め、辺りを見回す。
今度は廊下だった。廊下にはドアが二つ奥には階段。
窓は割れている。
一つは半壊していて便所が見えた。
もう一つはちゃんとしまっている。
ドアを開けた。
給湯室のような場所だったらしく食器棚があった。
食器棚のガラスは全て割れていたが、
皿本体は地面に数十枚落ちているにもかかわらず
一枚も割れていなかった。
ドアを閉め廊下に戻り、奥の階段を下る。
一階は日光が指していない。
カーテンがかかっているためではなく、
物置のように利用されているため椅子の山や積み重ねられた机に遮られているのだ。
三人のうち煙草を吸う奴がいたのでライターで辺りを照らしながら進んだ。
床一面にガラスが飛び散っているので歩く事にガシャリガシャリと音がする。
「・・・一人分くらい足音が多くても気づかないよな」
などと怖がりながら言うヤツも居た。
三人は本棚を物色し始めた。
火の鳥やらなんやら昔の漫画がある。
一通り物色したので戻ろうとした。

「バタン」

二階からドアの閉じる音がした。
最初に閉め忘れた鏡の部屋だろう。
顔を見合わせる三人。
「ヤバイ!ヤバイ!」と先ほどの俺のように怯える三人、当然入ってきた二階には行きたくもない。
三人は一階の窓を蹴破って脱出。
一目散に麓まで逃げた。

終わり


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