実は若かりし頃走り屋みたいな事やってて、たまに丹沢湖の周りも走ってたんだけ
ど、(住民の人スマン・・・)
ある晩いつものように友達数人と丹沢湖に走りに行った。
その日は前日から降り続いた雨が夕方に止んで、空は晴れ渡っているものの路面は濡
れたままだった。
あまり気が乗らなかったものの、走ってみると意外と滑らなかったので、いつもより
ペースを落として走ってた。
ひとしきり走った後、バス停の所に車を停めて缶コーヒーを飲みながら友達と話して
たけど、
やがてそれにも飽きて俺は一人でまた走り出した。
一方通行の区間に入った所で、後ろからライトが一つ追い上げてくるのが見えた。
「バイクが来たのかな?」と思ったけど何かがおかしい。
ここみたいな曲がりくねった所では基本的にバイクは車より遅い筈、
しかも路面が濡れた状態では圧倒的に車の方が速いので、バイクが追い上げてくる筈
がない。
「って事は片方のライトが切れた車なのかな?」とも思ったけど、この日は俺達以外
に走ってる人は居なかった。
「まあ、追い付かれれば誰だか分かるだろう。」と思って走り続けたが、
それにしても異常なくらい速いペースで追い上げてくるので、追い付くのは時間の問
題だろう。

してそれはすぐにやってきた。
コーナーを曲がってる俺のイン側にライトが滑り込んできた。
「こんな狭い道幅で抜く事なんかできない!」と思う間もなく、それは俺の横に並ん
だ。
それの正体は車のライトではなく、直径1メートル位の光の球だった。
その球の中心に青白く見える位一際明るく光る核があった。
核の表面には赤や青、緑色の粒が蠢いてる。
そしてその光の球が俺の横に来たと同時に、俺の車に異変が起こった。
エンジンが勝手に吹き上がり、アクセルを戻してもクラッチを切っても回転は上がり

レブリミッターに当たってババババババ・・・といい続けている。
ルームランプが勝手に点き、ホーンも鳴り出し、消しておいたステレオも勝手に鳴り
出し、
しかもCDとカセットとラジオが同時に鳴ってるようだ。
ドアポケットの中のマグライトまで勝手に光っていて、車中の電気という電気が全て
稼動してる状態だった。

そしてそれが俺の横を過ぎると同時に全ての電源が落ち、辺りは闇に包まれた。
パワステもブレーキも効かない中、なんとか車を道端に寄せようとしている間に、
光の球は次のコーナーを曲がっていって、やがて見えなくなった。
なんとか車を停めて、エンジンを再始動しようと思ってキーを捻っても全く反応がな
い・・・
ドアを開けてもルームランプやドアに付いている追突防止のランプも点かないので、
ライターで手元を照らしてドアポケットの中のマグライトを取り出すと、マグライト
は生きていた。
たぶんヒューズが全部飛んでいるのだろうと思い、ボンネットのオープナーを引き外に出ると、
いくつか先のコーナーがある辺りから、さっきの光の球が真上をめがけて上がって
いった。
それを目で追ってると一直線に真上に上がっていき、やがては見えなくなった。


ボンネットを開けヒューズを調べてみると、どれも皆ヒューズは飛んでいないよう
だった。
「ヒューズが切れてないのにエンジンが掛からないのは何故だ?」と考えてると、
俺の帰りが遅いので友達が様子を見にきた。
その場で事情を話すのもアレなので、とりあえず皆の居る駐車場まで車を牽引してい
き、
駐車場で事情を話すと全員が凍りついた。
すぐにでもこの場から離れたいところだが、俺の車をどうやって持ち帰ろうかと話し
ている中、
友達の一人が試しにキーを捻ると、いつもと同じようにエンジンが掛かった。
色々と調べてみても、今までと同じようにどこにも問題は無かった。

あれはなんだったのだろう・・・?
UFO?
霊?
いずれにしても俺達はこれ以降だんだんと丹沢湖から遠ざかっていった。


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