□講義後のオリオン座
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その日は腹が痛いと嘘をついてまだ日が暮れないうちに塾を出た


家に帰ったらいろいろ言われそうなので近くの本屋に寄って時間を潰した


実際本屋でなにしてたかというと全く記憶がない



それほどショックだった



本屋を出たのはだいぶ外が暗くなってからだった



iPodの電源をいれ適当な曲を選んで聞いた


まあ見事な失恋ソングだった



《…君の声を全てを抱き締めて僕は僕を生きていくから……

平井堅/バイマイメロディ》




失恋のわりには明るい曲だった


瑞希は乾いた笑いを漏らした


歌の中ではずいぶんとサッパリと恋を諦めて自分の道を歩こうとする



所詮…こんなもんだよな




私もいつかそんな風に歩けるようになるの?



空は綺麗な星がよく見えた


冬はオリオン座が特に綺麗だ


その空の下で瑞希はアスファルトの上でうずくまった


街灯も車も人も誰もいない道だった





涙が溢れて制服のスカートを濡らした



袖で拭ってもあとから溢れて止まらなくなって



ただ泣くしかなかった







ひたすら泣いている時に思うのはこの一言



"先生好きです"


言えば良かった



先生がいなくなる前に言えば良かったよ




誰か涙の止まり方を教えてよ







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