□白染めwinter
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瑞希の目に映るはクリスマス風にアレンジされた可愛いお店から出てくるサンジとナミの姿


二人とも嬉しそうに笑って歩いている


周りの人の雑音のせいでなんと言っているかは分からなかった





瑞希はその場を離れた



一刻も早くあの場所から立ち去りたかった




一人歩いていると何人かの男に誘われたが瑞希の耳には届かなかった



男たちは悪態をつくか頭が狂ってるとだけ言い立ち去っていく



そのうちキれられた男に腕を掴まれた



周りを見れば歩いてるうちに戻ってきてしまった待ち合わせの場所




「は…離して!!」



そう言った瞬間に腕を掴んだ手は一瞬にして離れた



「テメェ!!汚い手で触るんじゃねぇよ!!」



罵声が響いた



よく通るバスの声だった



誰の声かはすぐに分かった



一気に周りが静かになった



もの凄い力で男の脇腹に蹴りがヒットした



男が倒れ、気絶すると人々が悲鳴を上げ、ざわつき始めた




「あ…やべ…瑞希ちゃん!走ろう!!」


「え…うん」



瑞希の予想通り助けてくれたのはサンジだった




瑞希とサンジは走ってその場から逃げた



二人とも今ではお尋ね者


海兵が悲鳴を聞いてかけつけてきたらマズい







何処まで走ったのか二人は海にいた



自分たちの海賊船がないことから違う浜辺であること以外なにも分からなかった



先ほどの明るいショッピングセンター街とうって変わって海は静かで墨汁を流したような色をしていた




風が肌寒い



「ハアハア…っ瑞希ちゃん大丈夫!?」



「え…?」



「怖くなかった!?」



がしっと両肩を掴まれた



サンジを見れば汗でびっしょりなワイシャツ



そして見たこともない不安そうな顔



「うん…?平気だよ?どうしたの?サンジ君?」


「どうしたのって…」



「ナミとのデートはもう終わったの?」



「え?ナミさん?…あ…まさか見てた…?」



「……」



「助けてくれてありがとう…それから…別れようか…サンジ君…」



「…それは無理な話だな」


「サンジ君にそんなこと言う権限はないよ…」



「いいや。あるね…だって俺は瑞希ちゃんを愛してるから」







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