【連載】転生パロ
□輪廻ー飛鳥編ー
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生まれ変わりってあると思う?
表情の起伏を読み取らせない男は、楽しそうな顔なのに、覚めた声色でそう問う。
「……さあ」
そう答えれば、男は至極つまらなそうな顔をした。
「高尚な聖徳太子も所詮人間か…」
その男は、ふうと溜め息を吐き、わざと聞こえるくらいの声量で私に向かって言う。
「大抵の人間はね、オレから生まれ変わりを信じるか、と聞けば、あると思う、無い、もしくは解らないと答えるんだ。」
それ以外どんな答えがあるのか私には思い浮かばないが、男は遠い目で答える。
「ねぇ、君は生まれ変わりたい?」
男は、いつのまにか私の右隣にいて、そう呟くように問いかけた。
「わかんない」
「そう」
心からの答えをのべると、私の答えが不服なのか、男は興味がなさそうに答え、ふわりと宙に浮かび、私から離れる。
「生まれ変わるのと、また普通に生まれるの。何が違うの?」
そう問いかければ、男は気だるそうに足を組みながら私の心臓付近を指差し、言った。
「簡単だよ。新しく生まれても記憶がそのままなんだ。」
「記憶が?」
「そう。…まあ大抵の人はこの質問をするに値しないような人生で終わるんだけどね」
と、男は笑いながら言う。
「オレがこの問いかけをすることはそう多くないんだ。」
私の答えを必要としていないのか、男はそのまま言葉を続ける。
「前世への未練が大きくて通常通り裁けない人に聞くんだよ。」
まあ未練が強すぎると問答無用で消しちゃうんだけどね、と男は笑った。
「だから君に選ぶ権利をあげる。」
ニッコリと男は微笑んだ。
…その笑みは、どこか悲しそうに見えたけど。
「このまま前世の記憶を持ち続けて聖徳太子のまま生きるか。
それともなにもかもさっぱり忘れて新しい人生を選ぶか。」
君はどっちにする?
と、男は頬杖をつきながら私に問う。
生まれ変わり、と言うことがどういうことなのかいまいちわかっていなかったのだけど、説明を聞いたときに決めていた。
「私は──」
自分の答えを述べると同時に、私は真っ白な光に包まれた。