03
□neighbor complex
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いつからだろう、私が徹の後ろについて歩かなくなったのは。多分、中学に上がったころだったと思う。
周りには知らない人が増えた。徹には新しい友達がたくさん出来て、何となく近くには居辛い雰囲気になった。そして、気付けば私は独りになっていた。
小学3年の頃、愛想もよくないし必要以上に喋らない私に根気良く声をかけ続けたのが、初めて同じクラスになった徹だった。最初は何かと思ったけど、不思議と悪い人だとは思わなかった。
それくらいになると学年の中の友達グループも大分固定されてきていたけど、私には友達と呼べる友達がいなかった。多分、この性格が邪魔をしていたのだと思う。気味が悪いと言われることもあった。
徹は徹で、当時から少し変わり者だったと思う。でも、周りには友達がたくさんいた。スポーツもそれなりに出来たし頭もいい。文字通りの優等生で、クラスの中心。そんな徹が私なんかに声をかけ続けた理由は何だったのだろうと。
それが、10年以上経った今でも気になって仕方のないこと。でも、聞くに聞けない。
「そうか、お前たちは小3の頃からの腐れ縁なのか」
「高校は違った……」
「でも、ここで出会ってるんだから結構なモンだよな」
「……リンには?」
「あー…オレにはいないな、そういう腐れ縁みたいなヤツは」
オレは過去を断ち切って今ここにいるからなと言うリンだけど、高校時代の友達とは割とよく遊んでいるらしい。
高校の友達といるリンとは一度街で会ったけど、その人は背が高くて、長い髪を結んでたけど結構ボサボサだった。リンと仲良くなりそうにない感じの人だったから驚いたのは記憶に新しい。
「昔の石川はどんな感じだったんだ?」
「今の徹をそのまま小さくした感じ……」
「アイツ、ガキの頃から変わってないのか」
「……三つ子の魂百まで」
本当に全然変わらない。変わったことと言えば、タバコを吸うようになってお酒を飲むようになったことくらい。あと、麻雀が強くなった。
「じゃあ、その頃のお前はどんな感じだったんだ?」
「聞いても面白くない……」
「それはオレが判断することだ。純粋に知りたいから聞いてるんだろう」
徹とよく、リンのこの強引さにはたまに憧れると話している。多分リンこそ三つ子の魂百までを地で行っているんだと思う。
「今と対して変わらない……」
「だろうな」
「わかってたなら聞かなくたって――」
「オレが勝手に想像してたところで推論、あるいは空想止まりだ。ま、お前自身から聞いても如何せん自己申告だけに信憑性には欠けるが、この話題に関してはお前を疑わない」