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□グッバイ ハロー
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 テストが終わってしまえば大学に来ることもそうそうない。春休み中はサークル活動も休止してしまうから、MMPのメンバーが集まることもない。そうなってしまうと基本的に出不精な面々ばかりが揃うMMP2年は絶対に集合しないだろうという読みで、律発案のMMP2年会議が行われている今現在。

「で、その会議がどうして対策の会議と同じ場所なんだ」
「これでもリツさんなりに譲歩してる方だ」
「さすがりっちゃん、わかっとる」
「ヒロもこう言ってる」
「それは単に土田さんとヒロさんが大学まで出てくるのが面倒だっただけなんじゃないですか?」
「うるっせぇよ向島エリア民が! ちったぁ越境の人間のことも考えやがれ!」
「そうやそうやー、りっちゃんの言う通りやー」

 対策委員の会議が行われている場所は、割とみんなが集まりやすい街の中にある。向島大学からはちょっと遠いけど、俺とヒロにとっては通学する際の通り道だ。越境通学をしている律やヒロにとっては大学に行くよりはよっぽど家から近いらしい。
 ただ、俺とこーたからすれば定期の範囲からは外れているし、いろいろと面倒な立地にあった。まずその開催場所に対するクレームから入れば、律とヒロからはボロクソに言われてしまうのだ。俺たちに比べればまだ近いだろうと。

「いや、俺とこーたに比べたらヒロの方がよっぽど来やすい立地だと思うけど。定期の範囲だし、電車の乗り継ぎないし」
「ノサカ、それは言ったらアカンって」
「越境通学って言っても限りなく向島に近い白影エリアじゃないか。律くらい壮絶な通学をしてるっていうならともかく、お前には言われたくない」

 昼食代わりにチキンタマゴサンドを食べながら、本題そっちのけで通学云々に関する論争の続きを。本題がそっちのけになっていることに果たして何人が気付いているのか。まあ、誰かがそのうち戻すだろ。俺にこの場を何とかするだけの力量はない。律かこーたが何とかしてくれるのを待とう。

「まあ、ナンダカンダで全員大学に出て来るよりは近いんですから、ここはそれで良しとしましょうよ。平和が一番」
「なんならお前に盛大なラブ&ピースを……」
「土田さんラブ&ピースは勘弁して下さい!」
「ま、こーたなんかにラブ&ピースするだけの労力も無駄だからやらないけど」
「ほっ」

 うーん、律とこーたがこの調子じゃ、本題に入るのはもう少し先になりそうな気配。まあ、この後予定があるとかじゃないから別にいいんだけど。
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