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□EMERGENCY CALL
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―12月9日午前2時―

 午前0時を回って、携帯電話に届き始めた誕生日を祝うメールに対する返信も一段落した頃。音楽を流していたノートパソコンを閉じ、菜月はベッドに潜る。
 しかしこの日は何故か妙に目が冴えて眠ることが出来ない。布団の中でこすり合わせる冷え切った足。小さく丸まって暖を取ろうとするもなかなか体は温まらない。こんなことなら昨日買い物に行ったとき、ケチらずに湯たんぽを買っておけばよかったと思っても後の祭。
 仕方なく布団から出て、マグカップに牛乳を注ぐ。電子レンジであっためるだけの簡単なホットミルク。スプーンに1杯の砂糖を溶かして。

 ホットミルクで内から体を温め、電気代節約のために消していた赤外線ヒーターもつける。もちろんタイマーは1時間にセットして、改めて布団に潜る。先程よりは心地のいい熱が生まれている。しかし時間が経つにつれ、逆に温まりすぎて体が火照ってくる。

(……服はいいか、窮屈だし)

 そう思い立った菜月は勢い良く着ていた服を脱ぎ、ショーツだけの状態になる。ほぼ生まれたままの状態になったことで開放感が生まれ、暑すぎるくらいだった布団の中もちょうどいい温度に感じられた。
 布団と体の熱が一体化して、ちょうどいいまどろみの中へ彼女が誘われた頃、枕元に置いてある電波時計は午前2時45分を指していた。
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