03

□Everything is your guitar.
1ページ/7ページ

「つーかお前部屋汚い」
「ゴメン、掃除しようとは思ってたんだけど、エイジだったらいいかって思って」

 最近はちょっとご無沙汰にしていたけど、久々に上がりこんだ高木の部屋は相変わらず汚い。
 台所の流しには食べ散らかした食器が積んだままになってるし、取り込んだ洗濯物なのか脱ぎ散らかした服なのかわからないがとにかく服が散乱した床。そしてしばらく来てなかった間に新しく開拓したと思われる芋焼酎の瓶と、こないだムトー先輩が「一番需要のありそうなタカティにあげるよ」って言って渡してた旅の土産のグラスがデスクの上に。

「つーか座る場所もねーじゃんこれ!」
「あ、今とりあえず服どかすから、ベッドの上にでも」

 そう言うと、脱ぎ散らかした物と洗濯した物を器用に分け、前者は洗濯機の中に、後者はカゴの中に押し込める。壁に立てかけられたギターケースだってタオルがかけられていて残念なことになっている。

「この汚さはしかし異常だ! 知ってるだろ俺比較的神経質なの! あーもう耐えられねぇ!」

 カラッと晴れた昼。窓を開け放ってまずは空気を入れ替える。お前はそのきったない部屋をとりあえず整理しろと指示をして、俺は台所に立つ。この積み重なっただらしない男の生活感溢れる流しは何とかしないと、これは冗談抜きでどうかと思う。もう一度言うけど俺は割と神経質だ。
 このマンションは水道代が定額らしくて、いくらでも使っていいって言ってるのをいいことに(しかしコイツどんなボンボンだ)、きゅーっと程よく捻った蛇口から出る水で洗剤をつけたスポンジを濡らして泡立てていく。時折、掃除サボるなよ、と声を掛けながら。

「しかしこれ……」

 なかなか落ちない油汚れ。つーか中華系は食い終わったらそのままにすんじゃなくてさっさと洗えっていつも言ってたのに。

「おい高木!」
「なにー!」
「お前このホイコーローの皿、いつから放置してんだ!」
「えーっとねー…えー…」
「もういい、1週間ってトコだな! ったく、」

 今でこそこうやってだらしない高木の身辺の世話をしてやることにも慣れて、ゴマには「豆はタカティの奥さんなんでしょ」だのなんだのって言われる始末。ったく、俺だって好きで家政婦やってるワケじゃないんだっていう。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ