エコメモSS

□NO.1001-1100
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■有罪判決は行き過ぎず

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「初心者講習会、お疲れさまでした」
「お疲れさまでしたー」
「それでは緊急定例会を行います」

 ――と、定例会三役となっちさんがやってきたのは星港駅近くのファミレス。初心者講習会が終わって、その足で。

 この会議に至る経緯は話せば長くなる。
 一言で言えば、対策委員の会議に向島のミッツが口を出しまくっていたとのこと。
 講師をラジオの仕事をしているプロのパーソナリティーに勝手に依頼して約束を取り付けたり、対策委員の方針に悉く口を挟んだり。その結果、プロの講師に講習会の日程が正しく伝わってなくて2日前のドタキャン劇。
 急遽なっちさんが臨時講師になってアナミキ全体講習からアナウンサー講習、そして見本番組までやってくれた。見た目上は何とかなったけどこれは問題だと、講習会にIFのトップである圭斗まで顔を出すことになって現在に至る。ちなみに俺とビッキーは講師です。

「どうする、今回は菜月さんが何とかしてくれたからよかったけど、これくらいで引き下がるような奴じゃないからね、三井は」
「この調子だと夏合宿にも口を挟んできそうだな。対策委員の立場からするとウザくてしょうがないぞ」
「ちょっとね、俺も野坂がかわいそうで見てらんなかったからさ、どうにかしてあげたいね」
「菜月と圭斗だけで解決出来るならいいけど、対策委員も巻き込まれてるのがねー。とりあえず、定例会三役敵に回して無事でいられると思うなって感じ?」

 ビッキーがちょっと物騒なことを言ってるけど、確かにそれっくらいの心持ちで行かないといけないのはミッツと同じ向島勢、なっちさんと圭斗の表情を見ればよくわかる。
 ここで必要なのは何だ、役割は。圭斗はインターフェイス、そして向島のトップとして全体に目を光らせる。なっちさんは対策委員の前議長として対策委員の子たち、特に野坂のケアをする。ビッキーは女子大特有の情報収集力だ。IFメディアネットワークのアンテナを最大に広げる。

「って言うか今回の件で野坂クンに逆ギレメール送ってんだよねアイツ、自分がメチャクチャにしといて超ありえないし! 対策のトップが自分のガッコの後輩だからってやりたい放題じゃない? 他の大学の子相手でも同じコト出来んのかってーの!」
「あー、まあ確かに果林も結構キてるっぽかったもんなー。あの高ピーですら優しく宥めてるぐらいだよ」
「えっ、あの高崎が…!?」
「優しく…!?」
「いや、高ピーって基本優しいんだけどさ、高ピーが果林に見たまんまわかりやすく優しいっていうのはあんまないからね、やっぱ相当だったんだよ」

 高ピーが優しい。一見イメージ出来ないその事実に3人はかなり動揺してるみたいだった。血も涙もないとか良くも悪くも孤高だと言われる高ピーをそうまでさせるほどの事態にまで陥っていたのかと、事態の深刻化は免れず。

「やっぱりこれは、出来るだけ多くの3年を動員して三井包囲網を敷くしかなさそうだな」
「対策委員は確かに可哀想だけど、三井なんかのためだけにそこまでするのも面倒だな」
「とりあえず、この件は一度向島に持ち帰るよ」
「圭斗、何とかしてくれんの?」
「伊東、さっきヒビキが言ったよね。定例会三役敵に回して無事でいられると思うなって。僕を怒らせておいて、そのままインターフェイスでデカい顔しようとするアイツの思い上がりを叩く仕事だね。僕の目が黒いうちは好き勝手させないよ」

 僕には関係ないと言わんばかりの涼しい顔をしていた議長サマも、案外お怒りになられていたようで。忘れてた、圭斗って結構短気だった。そうか、俺の役割はいざという時に冷静でいることだな。


end.


++++

そろそろいっちーが2番手としての生き方を確立しつつあります。控えめだけどIFナンバーワンミキサーだよ!
IF3年会での高崎はイジられ役なのか孤高なのかどっちやねん、的なポジション。きっと切り替えがね、出来るんだろうね!
た、高崎をイジれるのって石川と洋平ちゃんですし……(案外やり手の前対策コンビ)

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