エコメモSS

□NO.1201-1300
56ページ/110ページ

■Count 1,2,3!

++++

「ねえ菜月、今日ご飯食べに行かない?」

 で、でたー!? と言うか、ナ、ナンダッテー!?
 向島大学の学生食堂では今日も今日とて放送サークルMMPの昼放送を流している最中なのだけど。俺たちが待機している事務所に三井先輩がやってきたかと思えば……今日が何の日かわかっているのか!

「あのね、徒歩圏内でいいお店があるんだ〜、付き合ってよ。財布の中身が不安なら俺が出すし」

 まあ、今日は12月24日で、クリスマスイブというヤツですよね。イブに女性を食事に誘うというのはそういうこととして解釈しても、まあ、間違いではないですよね?
 相変わらず財布をチラツかせて菜月先輩を動かそうだなんて、やることがいちいちあざといぞ! ――とは思うけど、表情には出さず。あー、でもさすがに今日はハラワタが煮えくり返る。
 でも、俺は菜月先輩を信じている。花火大会の時だって、三井先輩からのお誘いは見事なまでにバッサリと切り捨ててくれたじゃないか。あの切れ味の良さがもう一度見たい。

「前のサークルの時に菜月、イブは一人だって言ってたから一緒にどうかなーと思って。あっ、外に出たくないならケーキ持って菜月の部屋に行くよー」
「来るな」

 よしきたあああっ!
 ……こほん。げほんげほん。柄にもなく取り乱した。やっぱり菜月先輩はキレッキレだー! 素晴らしい! ラブ&ピース!

「と言うか、アタックしてたっていう青女のお嬢様はどうしたんだ」
「やっぱり青女の子は化けの皮が剥がれると品がないよね。可愛いのは上っ面だけだよ」
「うわ、その発言は引くわ」
「いや、その子がさ、現在進行形で三股くらいかけてるんだって。バイト先の人とご飯食べに行ったとか、高校の同級生と遊んだとか」
「お前の基準だったらうちとノサカの関係ですら股のひとつにカウントされるじゃないか、二人で歩いてるレベルでどうこう言われたらたまったモンじゃない」

 どこまでお前は女に夢を見ているんだ、と菜月先輩が三井先輩をバッサバッサと斬っていく。ああ、ここに圭斗先輩がいらっしゃらないのが実に惜しい…! いや、律でもいいな。
 と言うか一緒に歩いてるくらいで股のひとつにカウント、という表現はともかく、それくらいで化けの皮がどうこうと言ってしまえるのかこの人は……どれだけ清純な女性を求めてるんだ。

「いやあ、菜月と野坂は付き合ってないってわかってるから。フラグも見えないよ」
「それでもまだ二股くらい残ってるぞ。はい残念。うちはお前に釣り合う清純な女子ではありませんので、退場ー」
「えっ、菜月にフラグ立ってる男がいるの!?」
「お前の基準で話してるだけだ。一緒に歩くとかご飯食べるっていうのを股にカウントすれば、二股のうちの一人は圭斗だ」

 本当に、三井先輩の中で「恋愛」のボーダーはどれだけ低いんだ。まあ、どっちにしても菜月先輩の間にフラグが立ってないなどと、あなたにだけは言われたくありませんけどね!
 と言うか俺と圭斗先輩を除くもうひと股って……あ、ひょっとしてあの方か! 三井先輩よりも断然フラグが強い緑ヶ丘の某先輩か! ハイスペック過ぎて勝てる気がしない!

「とにかく、用事が済んだならご退場願おうか」


end.


++++

ノサカが心の中でどったんばったん忙しくぷんすかしてる嫉妬回。イブの2本立ての騒々しい方と言うか醜い方(笑)
三井サンのアタックが露骨なのにいてもたってもいられなかったノサカですが、真にフラグが残っている緑ヶ丘の某先輩にはどういう反応なんだろうか。
三井サンは純だからね! きっと彼女とか好きな子には他の男と歩いて欲しくないんだろうね!

.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ