エコメモSS

□NO.1401-1500
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■人脈形成は先の先

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「さぁーきぃー」

 ――と、1人呼んだら振り向く2人。アタシが今声をかけたのはサークル同期の方の紗希で、紗希の友達らしいもう一人の方の子はよく知らない。

「ああ、ヒビキ。おはよ」
「ちょうどいいところに通りかかったよね。紗希、合コン来ない?」
「好きだねヒビキも。玉の輿はそう転がってないと思うけど」
「そういうのは婚活パーティーの方が可能性あるでしょ。合コンはアソビよアソビ」
「アタシは遠慮しとく。楽しんできて」
「ケチー」

 やっぱり。紗希を誘って釣れた試しなんてないからわかりきってたけど今回もダメだったか。きっとゲームやるのに忙しいんだろうな。これだからオタクってヤツは。
 ――となると、次に目をつけるのは紗希と一緒にいるこの子。この子も結構小柄で可愛いような感じの子だし、男ウケは良さそう。別に質はどーでもよくてぶっちゃけ頭数だけ揃えたいんですよ便宜上。

「ヒビキ、麻見ちゃんは彼氏いるからね」
「ちょっ、まだ何も言ってないのに何でわかったの!」
「ヒビキの考えることくらいお見通しです」
「へえ、アサミちゃんていうんだ、アタシ文学部の加賀郷音ー、よろしくー」

 するとアサミちゃんは控えめにぺこりとアタシに会釈をしてくれる。確かにこの可愛さ、彼氏がいてもおかしくはないなこりゃ。肩胛骨くらいまでの黒髪ストレートがまた清楚さを醸してるよ。

「麻見ちゃんの麻見って名字だよ」
「あ、そうなの? 変わってんね」
「麻見さきです。紗希ちゃんと同じ心理です」
「あ、名前はさきちゃんていうんだ」

 ああ、それでさっきアタシが紗希を呼んだときに2人とも振り向いたのか。名前が同じで割と一緒にいるような感じだと、そういうところが紛らわしくなっちゃわないのかな。
 この2人を合コンに誘うのを諦めたところで、気になるのは麻見ちゃんの彼氏がどういう人なのかっていうところ。アタシも一端の女子ですし、こーゆー話は大好きですよね!

「ねえねえ麻見ちゃんの彼氏ってどんな人なのねえねえ」
「ヒビキ、初対面なのにあんまりがっつかないの」
「高校の頃から付き合ってて、今は美容師だよ」
「えー! じゃあ結構長いんじゃーん! 結婚の話とかもしてるのねえねえ」
「ヒビキ」
「一緒になれたらいいねって話したりするくらいだよ。アタシはまだ学生だし、彼も今年1年目だから。学生同士の友達カップルの方が現実的に話してるくらいだし」
「あー、やっぱそーゆータイミングって難しいよねえ」

 麻見ちゃんをさらに尋問していくと、案外嫌がらずに何でも話してくれる。彼氏さんのスペックだとか、デートではどういうことをするのかなどなど。紗希は呆れてるみたいだけど、楽しいよね。
 どうやら麻見ちゃんの彼氏さんは180オーバーの長身でバスケやってるスポーツマン。友達も多いし優しい。センスもいいし、美専時代にはコンクールで賞も取ったとか。そりゃ自慢したくもなるわ。
 ――と。ここでアタシは気付く。人脈も広く太そうな麻見ちゃんの彼氏さんに誰か適当な友達の男を紹介してもらえないかなって。そんな人の友達だもん、ある程度スペック高いっしょ…!

「麻見ちゃん! 今度アタシと紗希と、彼氏さんと4人でお茶でもしない!?」
「ちょっとヒビキ、魂胆丸見え」
「いいよ、彼、そーゆーの大好きだから」
「おお、言ってみるモノだなあ」

 玉の輿の前に少し遊ぶことは罪じゃないはず! まずは顔よし性格よし体格よしの男来ーい!


end.


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ヒビキの野望が動き出したような、そんな感じのアレ。紗希ちゃんは家では割と忙しくしているよ! ゲームやるのに忙しいんだ!
そして青女放送外キャラの麻見ちゃん。ヒビキ曰く清楚系のかわいらしい子。しかし、その実体は…!
そしてこの3人が揃うとゆくゆくは紗希ちゃんがストッパーになってくるんだろうけど、果たしてどうなるやら。

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