エコメモSS

□NO.1701-1800
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■輝く星の並べ方

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「定例会です」

 この時期の向島インターフェイス放送委員会は、来る5月のファンタジックフェスタに向けた話し合いに入っていく。実質、これが唯一の対外的な活動だけに、気合いが入る。
 今の3年生だと高崎先輩がいい例で、ファンフェスでIFの一線から退く人も多いから2年生にはある意味集大成。1年生にはこの1年でどれだけやれるようになったかを披露する場でもある。

「でも、班編成は揉めなさそうで安心してる俺は」
「まだ誰が出てくれるかもわからないのに」

 どこか余裕をぶっこく定例会議長の俺を、委員長の直が隣で戒める。何がどうなって大事件に発展するのかわからないんだから気を緩めてはダメだと。
 それはもちろんわかってる。人間関係や大学の性質なんかを考えることを念頭に置いた上での余裕。ある意味、今年のファンフェスで自分がされたことも糧になっている。

「そうだけど、高崎先輩とか菜月先輩みたいな圧倒的な大スターって今の2年にはいないだろ」
「それは確かに」
「それに、定例会にも有無を言わせない帝王の圭斗先輩や地味に職権濫用の激しいカズ先輩みたいな人もいない」
「L、顔色が悪くなってるよ」
「今年のファンフェスのトラウマがなあ」

 と言うか主にカズ先輩の職権濫用だ。あの人は何気に直属の後輩を実戦で鍛えたいという咲良さんイズムな理由でインターフェイスの場でムチャ振りをしてくる。ちなみに主な被害者は俺と高木。
 どういう職権濫用をしてくるのかと言えば、他校の実力者や問題児のいる班にMBCCのミキサーを積極的にぶち込みに行くというもの。カズ先輩も咲良さんにはよくやられたらしい。

「菜月先輩には高崎先輩とカズ先輩の両方から俺にはどんな注文をしてもいいって伝わってたらしいし番組構成や音源の要求がま〜あ複雑になるわなるわ。大石先輩にそれを止める力も気もないし」
「菜月先輩を疫病神みたいに言うとかL先輩ぶち殺しますよ」
「いや、違うんだ奈々そういうつもりじゃなくて」
「タカティも夏合宿で菜月先輩との番組こなしてたのに2年生が文句言ってるー! しょぼーん」
「ハ〜ナ〜…! お前まで調子に乗るな」
「ちっとも怖くないですぅ〜」

 ハナナナが盛り上がると定例会の誰にも止めることが出来ない。どっちかが暴走に気付いて止めることが出来るから見た目よりは手が掛からないとは言え、厄介なことには違いないんだこのミニミニコンビは。
 おまけにマリンがノリ始めるわ、ミドリは哀れむような目で俺を見るわ、ユキに至っては面白がった上で自分は何もせずただただ傍観という第三者スタイルをキメている。
 高崎先輩のようにゲンコツでも落とせれば楽なんだろうけど俺の性には合わないし、同じMBCCのハナならともかく奈々にやろうモンなら今の向島の代表って誰だっけ……あっ、律だ。俺が死ぬわ。

「わかった」
「直」
「それじゃあ、ハナちゃんと奈々はラジオメインの学校だし、不慣れな子にラジオのノウハウを教えてあげられるような班編成にしようか」
「えー!? 直クン先輩ハナたち1年ですよー!?」
「果林やマーシーも、去年はラジオに不慣れな星ヶ丘の先輩たちをリードしてたから2人にも出来るよ。その時はお願いしようか」

 さっきまであれほど騒いでいたハナナナとはじめとした1年生があっと言う間に黙り込む。ミドリの顔だけはさっきまでと変わらない困惑した表情だ。
 直はすげーな、一瞬でハナナナを黙らせるとか。的確な去年の事例を出してるけど、えっ、これって地味にカズ先輩の再来を見てるんじゃないのか。あっ、バレンタインのマフィンにもカズ先輩の姿がダブる!

「そういう方向で行くことにしようか、L」
「えっあっはい、それで行きましょう」
「L先輩議長の立場なーい! しょぼーん!」

 言えるか、地味にここ近年の定例会は議長よか委員長の方が力を持ってただなんて。


end.


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L直回に見せかけて、ハナナナがきゃっきゃしてるだけのヤツ。ハナちゃんとLの掛け合いが地味に好き。かわいい。
近年の定例会委員長と言えば、今が直クンでその前がいち氏、でもってその前が麻里さんだから、確かに怒らすと(麻里さんは怒らさなくても)怖いね!
ハナナナがきゃっきゃしてるのは絶対かわいいのだけど、それに対するミドリが出張って欲しかったのでいつかまでの課題だな!

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