エコメモSS

□NO.3101-
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■締まって行こうぜ

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「あー……あー……ああー! もう! ダメだ!」

 怒涛の年末を潜り抜け、正月休みで戦利品の消化を始めようとしたものの。何を間違ったか全く関係ないことを始めてしまって戦利品の消化も次に向けた自分の活動も全然進まない。正月くらいいいんじゃないのと言われればそれまでだけど、生産性がなさ過ぎてダメ。
 いつもだったら別にコミフェを抜けたくらいで燃え尽き現象なんか起こらない。今のうちのスランプは燃え尽きが原因じゃないこともわかってる。何がダメって、生活のリズムが狂い過ぎたことでお昼寝に時間が割かれ過ぎてるって言うか、ねえ。
 昼寝もするし夜も寝るし、戦利品の消化をしながら動画も見てってやってたら本当に生活がぐっだぐだ。自分が動くモードになんか全然なり切れてない。やる気はあったんですよ? せっかく休みなら自分の作業にって。だけど、うちに休みって向かないみたい。

「――で、俺が呼ばれたのか」
「ホント、今日だけでいいの! 通常の生活リズムに戻すためにね。別に何をして欲しいとかじゃなくて、いてくれればオッケーだから。なんならうちのテレビで好きなの見ててもらって全然オッケーだし」

 で、生活リズムを戻すために下宿先に戻ってカズを招集したよね。年末年始の間は「趣味には相互不干渉」を理由に互いに好き勝手するんだって言ってたんだけど。うちは同人、カズはサッカーでね。今高校サッカーとかやっててカズ的に忙しいんだけど、今日はテレビ放送ないらしいから。
 カズの目があればちょっとはいつも通りになるんじゃないかと思ったよね。別に普段からカズがうちの作業を管理してるとかじゃないんだけど、こう、人の目があると思ったら作業しなきゃってなるからね。少なくとも昼寝はしなくなるんじゃないかなって。

「カズ、年末年始どうしてた? おそばと餅つき以外で」
「お前がいなかった時から振り返れば星高メンツの忘年会とか」
「あっ、そう言えば忘年会どうだった?」
「ああうん、楽しかったよ。俺は安定のお世話役でさ。延々と飯作ってさ」
「えー、うちも久々にカズのごはん食べたいなー」
「っつっても実家で千春さんのご飯食ってたんじゃないのか」
「食べてたけどさ、わかる? 千春さんのごはんは千春さんのごはんで美味しいけど、カズのごはんはカズのごはんで美味しいの」
「まあ、年末年始でお互い食生活ぐだぐだになってそうだし、その辺ちゃんとするような献立にするから」
「お願いしまーす」

 忘年会で高崎クンがすっごいご飯食べてたとか、浅浦クン家での年越しそば大会では思いがけず天ぷらを食べ過ぎちゃった話なんかを聞いていた。その天ぷらに始まって、お正月らしくお餅も食べ過ぎちゃってカズはこの年末年始で2キロ太ったらしい。
 実家にいる間は1人暮らしの時ほど家事をしないからそんなに動かないし、実家でやることと言えば大体テレビでサッカー観戦だから。それで食べる量が普段よりかなり増えちゃってたから体重もちょっと増えたって。そんな風には見えないけどね。元々が痩せ過ぎだからね。

「はい慧梨夏、紅茶」
「あっ、ありがと」
「俺テレビ見るとかゲームしたりするから」
「うん。うちからは声かけないと思うから。ご飯の時間になったら呼んでください」
「了解」

 うん、カズがいてくれるだけでいつも通りに戻ってる感じがする。作業の方も、リハビリ程度のレベルとは言え始められることに意義があるので今日はこれでよしとしよう。ちょっとしたことから鳴らしていかないとね。いきなり大作なんて出来ないし。
 元々一緒にいるからって一緒に何かしてるワケでもないから、互いを背景にしてるような感じ。それこそ作業音とか背景みたいに馴染んじゃってる。実家で作業してた時は何かこれじゃない感があったし、やっぱり、生活リズムがね。
 とりあえず、作業用BGMを昨日のSDX新年会にしよう。あの人たちがわちゃわちゃしてるのただただかわいかったヤツ。あの放送、戦利品消化しながら流し聞きしてる感じだったからちゃんと聞いてないんだよね。まあ、今もあんまりちゃんとは聞いてないんだけど。

「あ、そうだ慧梨夏」
「なに?」
「さっきちょっと見たら食材全然ないような感じだったから、後でちょっと買い物行って来るわ」
「冷凍庫にもない? ストック作ってなかった?」
「あんまない。こっちのはクリスマス前に結構使った。ストック作ってたのは俺の部屋の方のヤツ」
「あーそっか」
「とりあえず野菜ベースに胃に優しい感じにするから。俺が正月食い過ぎててちょっとアレだから」
「カズはダイエットの必要がないとは言え、いつもより肥えるとさすがに気になりますか」
「まあ、増え方が増え方だからな。筋肉ついて数字が増えたとかなら喜ばしいことだけど、絶対ただの肉じゃんな」
「あの、うちにもダメージが凄まじいんだけど。でも、太ったって言うけどそんな変わった? 脱いでみようか?」
「やだよ、脱ぐ気分じゃねーもんよ。ほら、いいから作業に戻りましょうか、慧梨夏サン」
「えー!? 不平等過ぎない? うちが太ったときは」
「ほら、手ぇ止まってんぞ」

 くるりとイスを回されれば、目の前にはパソコンのディスプレイ。カーソルが点滅したまま字が増えない。あーあ、勝手に増えてくれないかな。自分で書かなきゃ話が増えないのが辛いトコだわ。絵を描く気分でもないし。あー、誰か燃料くーださい。リハビリが進まないよー。


end.


++++

お正月から普段の生活に戻していくのはいちえりちゃんからです。慧梨夏の作業が詰まっていたようです。
今年のお正月はいち氏が食べ過ぎていたようですけど、そこできちんと運動しとけば筋肉になったんじゃないかな。てかいち氏リングフィットとかやればええんちゃう
えこんぬあるある、自分がスランプの時はスランプに絡む話を書きがち。

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