エコメモSS

□NO.1001-1100
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■イロハニオンステージ

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「定例会です。さて、もうすぐここの母体のイベントが迫ってるワケだけれども」
「ああ、それがあったかー」

 向島インターフェイス放送委員会の会議が行われている小洒落たビルは、今日も街の中で輝いている。今日俺たちが話し合うのは自分たち主動のイベントのことではない。
 この小洒落たビルを拠点とする企業サマからの支援を受けて俺たちはいろいろな活動を行うことが出来ている。IFの機材を保管したりだとか、ファンフェスのあれこれだとか。スキー場DJをやっていた時代はもっとがっつりお世話になっていたんだけど。
 こっちもお世話になっているからには、向こうの依頼にもある程度は応えなければいけないワケで。IF全体と言うよりは定例会メンバーしか知らないだろう。向島エリアで行われる大きな祭のスタッフとして駆り出されるということは。

「MCとミキサーだね、主に。とは言っても3年の定例会メンバーはほぼ強制参加のようなものだけど。一応定例会以外からも参加者は募るけど、まあ出ないだろうね」

 これは向島エリアの各ステージで踊る祭だ。有名どころで言えばよさこいとかああいう類の、まあ、言ってしまえばパクリにも等しいような――げほんげほん、定例会のナンバーツーがそれを言ったらIFが消されかねないな。とにかく踊って夏を楽しもうぜとかそういう大会。

「ラジオよりはステージ寄りだし、ヒビキや朝霞君は大体イメージつくと思うけど」
「俺は去年も見てるし大体は。でも圭斗もMCはやるんだろ?」
「やらざるを得ないと言う方が正しいかもね」
「カズも結構本格的なPA(音響)になるけど」
「それは結構楽しみ」
「でも伊東、お前夏合宿にも出るのに大丈夫か?」
「大丈夫大丈夫、何とかなるって」

 本格的なステージ音響とは言え俺が全部仕切るワケでもない。プロの人がいるんだからあくまで補佐だろうと。近くでそういう機材群を見られるのは純粋に楽しみだから、夏合宿がどうとかじゃなくてこれはこれで、うん。
 圭斗が上手いことこの祭の話を自分からカオルやビッキー主導で行くように話を持っていって、話し合いの方もステージ系の学校がメインで行われているような感じ。
 ラジオメインの緑ヶ丘や向島、そして星大のメンバーに対しては、ステージのあれこれについてのイロハを勉強する場が設けられるらしい。なかなか本格的だ。

「それじゃ、今度朝霞Pからステージ講習が行われるのでラジオ系の学校の人は参加してください。映像系の皆さんはまあ、それなりに」
「そしたら今回のステージの概要を聞いといた方がいいね企業さんに。アレだったらどういう設営になってるかとか頭に叩き込んどいた方がいいし」
「キャーカオルカッコイー」
「朝霞Pすてきー」

 どうしても普段のIFの活動はラジオメインだから陰が薄くなりがちなカオルだけど、やっぱりステージの活動になるとすげーなーって素直に思う。さすが星ヶ丘の敏腕プロデューサーだ。

「いやいやいや。カズ、圭斗、お前らな、たまに人を持ち上げるからには真面目にやらないとぶっ飛ばすぞ」
「キャーカオルこわーい」
「朝霞Pこわーい」
「うん、わかった。お前ら本気で扱く」
「ちょっ、ジョーダンだっての!」
「オンの朝霞Pに本気になられたら神経がすり減ってしまうよ。お手柔らかに頼むよ」

 うん、さすが朝霞P。オンのモードに入るとすげー怖い。でも、俺たちもある程度使えるレベルに扱き上げてくれるんだろうなという気はしてきた。祭本番までどれだけそのレベルまで近付けるか、それが楽しみで仕方ない。


end.


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定例会サイドの隠れイベントのお話。今回はステージ寄りのイベントなので朝霞Pが大活躍だよ!
ちなみに朝霞PはこのイベントではMC(アナ)を担当することになるのだけど、本業ではないにしてもそれなりの水準にはあるらしい。
いっちーは自分トコの学祭でちょっとやってるからともかく圭斗さんとステージのイメージってないなあ(笑)

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