エコメモSS

□NO.1001-1100
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■sociology of gorge(breast)

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「夏の露出に対する視線の行き場?」

 また伊東が妙なことを聞いてきたと思えば、そんなことか。彼女さんと何かあったのかと聞けば、違うらしい。どうやら緑ヶ丘のサークルでそんなような話題になって、果林がその対応に困っていたとのこと。
 別に、女性のそれを同じ女性が見たところでどうだというのが本音なのだけれど。露出の高くなる季節だけに、僕たち男も気をつけておきたいところ。少なくとも、丼屋でする話題ではないけれど。

「俺と高ピーじゃ模範解答を出してあげられなくて」
「まあ、常に見てる男と見飽きた男じゃな」
「そもそも、見られただの何だのって因縁をつけるくらいならはじめからそういうのを着なきゃいいのにって思う」
「確かに、露出の高い服を着ている女性に対して誘ってるのか、と思ってしまうのは男の摂理だし仕方ないことだと思うよ。だけど問題は、それをいかに僕たち男がスマートに対応するかだ。己の欲望をぶちまけられるのは、ごく限られた一握りのイケメンと二次元のみだ」

 幸い、僕は電車や街の雑踏の中でそのような因縁をつけられたことはないし、過去の恋人たちに関してもそういうことを言うような子はいなかった。ただ、彼女たちの言うところによれば、見せつけたいとかではなく可愛いと思った服がそういうデザインだった、ということだ。
 もちろんその他にもあるだろう。そして、それは一見包み込むような豊満な胸を持つ女性に限った話のようにも思えるけれど、そうではない女性にしても服の隙間や下着の隙間からトップがこんにちはしてしまうことがある。それこそ、露出度がさほど高くない服を着ていてもだ。

「チラ見してしまうのは仕方ないことだから、着ている服の方を褒めるといい。そのワンピース可愛いね、という具合にね」
「なるほどなー」
「見られていると感じるとそれを隠そうとする女性もいるだろう? だけど動物は動く物に反応してしまう性質があるし、さらに視線を注いでしまうのは仕方ない」
「さすが圭斗だな、俺と高ピーじゃたどり着けなかったところにあっさりと持って行きやがった。愛の伝道師の名はダテじゃねーな」

 がつがつとうな丼をかき込みながら伊東が感心するけれど、かき込みながらも難しい表情をしている。服を褒めるにしてもそんな高等技術持ち合わせてないし、などとぶつぶつと。

「でもさ、あ、俺の彼女の話になるんだけど」
「惚気か」
「ちげーってガチな話。でさ、結構スタイルいいのな」
「惚気じゃないか」
「だからちげーっての! 露出を抑えようとして首もとが詰まった服を着たら太って見えるのがイヤとかでさ。でもすっきりとした服を着たら露出してる風に見えるしーって悩んでるみたいだった」
「なるほど、それは大変そうだね」
「冤罪着せられる男も大変だけど、大変な思いしてる女の子もいるんだなーと思うと一概にどっちがどうだって言えないしさ」

 場合によっては同じ女性からも敵視されることがあるというのだから、大変なのかもしれない。伊東が言うには高崎と果林の言い様も結構酷かったらしい。いや、それはその2人だからかもしれないけど。

「わざと露出してるんじゃないかっていう女性の見分け方は、相手の目を見つめてみればいい」
「は?」
「それで熱い視線を返してくるようであれば、見ることを許されていると解釈できるからね」
「圭斗、みんながみんなお前みたいなイケメンじゃないんだぞ」

 解法になってないって? そんなもの、人それぞれじゃないかい?


end.


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その辺はまあ、圭斗さんですしね! 圭斗さんなら限られた一握りのイケメンになれるよきっと!
あと、女性の目を見つめてみるというそれも圭斗さんなら出来るけどいっちーには到底無理だろうな!!
そして、もしこの話をノサカあたりが聞いていたなら「ふあああっ! さすが圭斗先輩素敵です!」となっていただろうね間違いなく。

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