エコメモSS

□NO.1101-1200
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■カウントダウンは止まらない

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「カーズー」
「どうした」
「オリンピック、7年後東都でやるってー」
「マジか!」

 きっと、このニュースに沸いてるところは沸いてるんだろうな。そりゃみんながみんなってワケじゃないのはわかってるけど。俺は正直どっちでもって感じだったけど、いざ決まってみるとちょっと上がる。
 やれオリンピックの招致レースがどうだってニュースじゃそればっかやってたし、開催が決定したことで経済的にはいろいろ動きそうだ。秋学期に入ったらどっかの授業でやるかもしれない。

「東都でやるっつっても確かサッカーは全国いろんなスタジアムでやるんだよな、でも向島は会場じゃないしチケット取って、どうやって行くかな」
「もう、ホントカズってサッカーのことになったら見境ないよね」
「しょうがないだろ、サッカー見てんのは14年前からだし」

 まあ、さほど興味なかったとは言えサッカーのデカい試合が近場でやる機会が増えるっていうことは素晴らしいことだと思うワケで。ありがとうオリンピック。チケット取るの頑張ります。いや、その前にワールドカップだ。現地に行くのは厳しいだろうけど。

「でもだよカズ、7年だよ。7年前何してた?」
「7年前かー……中2っつーと、まあ大体浅浦とツルんでたくらいしか記憶にねーな」
「今と変わんないじゃん」
「そう言うお前は何してたんだよ」
「そりゃバスケ少女兼腐女子ですよ」
「その頃からすでに腐ってたのな。つーかお前だって今と変わってねーだろ」
「あの頃は厨二こじらせてたよね」

 年食って、交友関係も広がったのにやってること自体は今も昔も変わらないなと笑い合う。だけど「果たして7年後は?」というところを考え始めると今と同じではないだろうから難しい。
 7年後って言うと28歳だ。いつまで経っても学生のノリで浅浦とツルんでるワケにもいかない。慧梨夏は慧梨夏でバスケで飯を食えるワケでもないし、二次元趣味……は多分死んでも直らないからそこは維持してるにしてもだ。

「でも、オリンピックに伴うコミフェ中止は大打撃だよね」
「やっぱお前足洗う気ないのな」
「一度黒く染まった物が真っ白に戻りますか。カズも今更サッカー抜きで生きれる?」
「はいはいサーセン愚問でした」

 つーか二次元趣味は維持どころかパワーアップしそうだな。
 それはともかく、俺の将来計画に基づくと、その頃には家庭を持って子どもだっていてっていうことになってるんだ。あんまり夢ばっかり見てもいられないワケで。
 そりゃオリンピックで経済が活性化して景気だって回復してくれりゃ給料や福利厚生の面で見ても生きやすい世の中になるかも、って期待しちまう面はあるさ。果たしてそれが向島エリアにも波及するのかどうかはわからないけど。

「カズは7年後、どうしてる?」
「7年後なー。コミフェどうこうとは別枠で、お前も同じこと思ってて欲しいってのは贅沢かな」
「うちらが結婚して、子どもも2人くらいいるかもとか?」

 そりゃ、同じことを思ってて欲しいとは言ったけど、いざ本当にそう言われるとこう、重なるイメージに向けて頑張らなきゃなーと思ったりして。どういう家庭にしたいか、これを機にもうちょっと突っ込んで聞いてみたいと思ったり。
 それこそ慧梨夏の本当の夢の部分、両親が揃って子どもがいてっていう俺にとっての普通の家庭を語るときの表情だ。いもしない子どもや、慧梨夏にちょっとした母性を見ている俺がいる。気が早いな。

「うちの同人趣味に呆れつつも怒らないでいてくれるとか」
「お前さりげに自分に都合のいい方向に持ってこうとすんな」
「大丈夫、子どもに悪影響は与えないように頑張るから」
「えっと、何をどう頑張るんですかね」

 7年後の俺たちがどうなっているのかはそのときにならないとわからないけど、今描いている計画もある程度実現したらいいなと思う。趣味の部分にはお互い目を瞑りつつ。


end.


++++

時事ネタ。まあこのバカップルは7年もあれば結婚なんかは余裕で済んでて新婚の域も抜けてるだろう。
コミフェどうこうは別にして、のところのイメージに向けて進めていけたらいいね。でもこの2人ならナンダカンダなってるだろう。
まあうん、一度黒く染まったものは真っ白には戻らないですよねー

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