エコメモSS

□NO.1501-1600
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■B階サニーデイ

公式学年+1年

++++

 3年生の先輩がやたらパソコンの前で大盛り上がりしてると思ったら、高校野球の様子をネットの1球速報で追っているらしい。果林先輩から3年生は野球好きが多いと聞いていたけど、なるほど納得。
 地下だからワンセグは少し厳しいかな、どうかなと言いながら携帯をあれこれセットする様は本格的な野球観戦。と言うか何故それをスタジオで、と思ったけど、3年生にもここでの本題があるはずで。

「おはよう鵠さん」
「よう高木」
「安曇野さんと佐竹さんは?」
「購買に行ってる」
「あ、俺が一番遅かったんだ。ゴメン」
「時間には間に合ってるしいいんじゃん?」

 歓声が起きると、野球の方が何かあったのかなとそわそわする。特別野球が好きってワケじゃないけど、何となく気になりはする。地元が勝ち進むとそれなりに嬉しいし。

「鵠さんは野球見るの?」
「たまにな」
「何か意外だよね鵠さんと野球って」
「そうか? 地元に球団あるし、ガキん頃はよく親父とスタジアムに行ってたけど」
「へえ、球場に行くくらいなら相当だね」
「ま、今はご無沙汰じゃんな。つかお前も地元にチームあるだろ」
「まあね」

 そんなことを話してると、女子が買い物袋を提げて戻ってきた。袋の中身は会議に耐えうるだけの飲み物と食料。その間にも3年生側から歓声や溜め息が上がる。

「安曇野さんと佐竹さんは野球見る方?」
「どこをどう見たらアタシがスポーツ見るように見えるし」
「あ、うん、そうだよねゴメン」

 佐竹さんは野球アニメがきっかけでプロ野球を少し見たくらいで、詳しいことはわからないとのこと。そういう入り口もあるのかと、さすが、サブカル・メディア分野の佐藤ゼミだ。
 そもそもほぼほぼスポーツというものから縁遠い安曇野さんが野球に抱く疑問はいろいろあるそうだけど、それを投げかけられたところで俺に解説出来るはずもなく。そもそも俺だってスポーツには縁遠い。

「てか全然点数入んないと面白くなくない?」
「いや、一言で点が入らないっつっても息の詰まるようなシビれる投手戦と、単に打線が繋がらないクソ試合っつーのがあって、前者なんかは点入んなくても面白い」
「でもやっぱホームランとかパカパカ出る方がわかりやすくない?」
「確かに軽く見るなら乱打戦の方が盛り上がるけど、応援してるチームがボコボコにされんの見てると胃がキリキリしてだな」
「ボコられたらボコり返せばいいし」
「そう簡単に出来りゃ苦労しねーじゃん?」

 ボコられたらボコり返せばいいというのはごもっともだけど、安曇野さんが言うと何だろう、少し怖さが増すのは……まあ、本人に言うと俺が物理的にボコられるだろうからとても言えないけど。
 鵠さんが野球のあれこれを語るその後ろでは相変わらず3年生の先輩が歓声を上げていて、それで何となく球場の様子を窺い知ることが出来た。感じるのは、高校野球という単語の爽やかさだ。

「最終的に点が多い方が勝ちなら1-0も20-19も変わんなくない?」
「それはそうなんだけど、20-19くらいまで行くと終わる頃にはぐったりするじゃんな」
「って言うか鵠さん、野球で20点も取れるっけ」
「たま〜にあるんだなこれが」


end.


++++

あずみんはスポーツ全般にあまり興味関心がないよ! アニメとかマンガ知識で精一杯。でもそれでもどっぷり行くときは行くんだろうなあ。
鵠さんが子供の頃にスタジアムにも行っていたというのは初めて出てきたお話。考えたこともなかったけど、まあ、アリなのかな。サッカーと野球なら野球っぽそうだと思った。
タカちゃんはサッカー派の多いMBCCでも数少ない野球寄りのキャラよね。あっでも高校野球が好きなハナちゃんがいたか。

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