エコメモSS

□NO.1701-1800
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■預言者の見た夢へ

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「さてと」
「長かったですねつばめ先輩」
「って言うかやっぱ狭っ! でもつばめ先輩と2人きりなら狭い方が幸せかなー、コイツさえいなければ…!」
「マリンそれ以上言うならつまみ出すぞ」
「ごめんなさいですー!」

 旧朝霞班改め、戸田班(仮)がいよいよ動き始めた。朝霞サンと洋平がいなくなって、その代わりに旧宇部班もとい柳井班からマリンこと浦和茉莉奈が移籍してきた。
 その間いろいろあったけど、共通の目的は「より良いステージをやる」というたったそれだけ。各々を育てた歴代班長の憎き影は一旦取っ払って、まずは自分たちを見つめましょうと。

「つばめ先輩、私がAPとして最初に活動するのはどこですか!」
「部活的にはファンフェスだろうけど、どーせこっちにはステージで出ることも言わないだろうしマリンは定例会だからファンフェスはIFの方で出なきゃでしょ」
「あっ、つばめ先輩とゲンゴローもIFの方で参加でいいですよね」
「いいよ」
「じゃあそういうことで」

 宇部班時代はアシスタントプロデューサーの略だったAPというマリンの肩書きも、今ではアナウンサー兼プロデューサーの略として使い続けている。APという響きが気に入っているらしい。
 流刑地扱いなのはいつだって変わらない。インターフェイスの活動に顔を出すというだけのことで変わり者扱いされるのも。そういうめんどくさい活動は全部丸投げしてくるクセに。

「でも、部活とIFの両方で出るって出来ないんですかねー」
「ゲンゴローは知らないかもだけど、朝霞サンはそれをやろうとして謹慎食らってるからね」
「えっ、謹慎!?」
「5月半ばまでP不在とかさー、あからさまなことやってくれたよね宇部サンも」
「それは宇部サンに逆らう朝霞が悪いです」

 あっはっは、と今では茶番だとわかっているからこそ笑い話になっている前監査・宇部恵美と流刑地の抗争だ。ただ、このファンフェスの件に関しては茶番ではなく朝霞サンもガチ切れだったとは洋平談。

「朝霞サン時々とんでもないムチャするからね、ステージとラジオ両方やるのは止めなきゃダメだって宇部サンの判断だったらしいけど」
「その点マリンはつばめ先輩が輝くステージの台本を書きつつインターフェイスの方のネタ帳もパパパーッと書いて」
「アタシが輝くってどういう意味」
「それこそ見てる人の目がつばめ先輩につい行ってしまうような」
「却下」

 現時点で厄介なのはマリンにやたら懐かれているということと、もうちょっと人数がいればという欲くらいだろうか。今度もゲンゴローみたく隠れた逸材を一本釣り出来ればいいんだけど。

「次の1年生、うちの班にも来ますかねー」
「つばめ先輩目当てに来るに決まってる!」
「マリンは却下として、それを見極めるのが対策委員のアンタでしょうよ」
「つばめ先輩みたく引っ張って来れますかね」
「それを引っ張るんだっつーの。出来れば男手かアナ、欲を言えば2人」
「だから何もしなくたってつばめ先輩目当てに人は来るから!」

 そうやって、先のことを話すことの出来る喜び。絶望しかなかったちょっと前までとは明らかに違う。3人いればステージをやれるというのはわかっているし、アタシにはこっしー時代からのノウハウもある。

「ま、アタシらが高いレベルでやることやってれば何人か来るだろ、変わり者が」
「そのためにはまず部活への勧誘ですね」
「幸いビラ配りとかいうめんどくさい活動はほぼほぼこっちに丸投げされてるからね! 柳井ぶっ飛ばす」
「つばめ先輩の魅力を通した部活の素晴らしさならいくらでも語れます!」
「学内での宗教への勧誘は禁止されてるから。何はともあれ、戸田班(仮)、始動!」


end.


++++

戸田班(仮)。つばちゃん的にはPを班の名前に冠したいらしいので、マリンがPらしくなったその時に看板をスパッと明け渡したいらしい。
朝霞Pと宇部Pのファンフェスを巡る抗争に関しては来年度以降への布石とかフラグとかそんな感じのアレ。
相変わらずマリンはノサカもビックリの先輩愛なので、つばちゃんがきっと疲れていくんだろうなあ! ノサカの顔を見て無言で殴ってるといいよ!

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