夢物語

□小春日和
1ページ/5ページ




『ひーでっ♪』



簪作りに精を出す秀の背中に掛かる


程良い人の重さ。



『竜…か。ちょっと待ってな』


手が離せないのか視線はやらず


言葉だけ返す。


『うん…。』


そのまま背中をすっぽり抱きしめ


秀の視線が自分を見るをずっと待つ。



『よし…待たせたな』


優しく竜の髪を撫で、額に軽く口付ける



『今日はとても暖かいよ?縁側に行こう』


竜に手を引かれ縁側まで出る。



心地良い太陽の光が差し込み


優しい風が吹いている。



『気持ちいいねぇ…』


秀に凭れ目を細めどこか遠くを見つめる竜

その横顔が酷く綺麗で…


裏稼業の際の殺戮的な表情は


微塵も感じ取れない。



『ん?どしたの?』


呆ける様に見つめる秀に竜が問う。



『んー…?綺麗だなぁって…』



竜の肩に顔を擦り寄せ柔らかく笑む。



寄せられた顔に今度は竜から


触れるだけの口付けを落とす。


『秀…可愛い…』


『何で俺が可愛いんだよ…?』


視線を上げれば竜の顔が目の前にあり…


どちらともなく口付ける
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ