夢物語
□小春日和
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『ひーでっ♪』
簪作りに精を出す秀の背中に掛かる
程良い人の重さ。
『竜…か。ちょっと待ってな』
手が離せないのか視線はやらず
言葉だけ返す。
『うん…。』
そのまま背中をすっぽり抱きしめ
秀の視線が自分を見るをずっと待つ。
『よし…待たせたな』
優しく竜の髪を撫で、額に軽く口付ける
『今日はとても暖かいよ?縁側に行こう』
竜に手を引かれ縁側まで出る。
心地良い太陽の光が差し込み
優しい風が吹いている。
『気持ちいいねぇ…』
秀に凭れ目を細めどこか遠くを見つめる竜
その横顔が酷く綺麗で…
裏稼業の際の殺戮的な表情は
微塵も感じ取れない。
『ん?どしたの?』
呆ける様に見つめる秀に竜が問う。
『んー…?綺麗だなぁって…』
竜の肩に顔を擦り寄せ柔らかく笑む。
寄せられた顔に今度は竜から
触れるだけの口付けを落とす。
『秀…可愛い…』
『何で俺が可愛いんだよ…?』
視線を上げれば竜の顔が目の前にあり…
どちらともなく口付ける