夢物語

□三日月逢瀬
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漆黒の空が次第に青を背負い
憎たらしい日の光が差し込む頃


どちらともなく着物の見頃を
整えて別々の方へと歩き出す。


−次は…無いかもしれない−


だからこそ逢瀬を重ねる度に
忘れない様に…悔いない様に


何度もその身体を互いに辿るのだと
ちょっとした言い訳を胸に


本当の心持ちは奥歯で噛み砕く
…口にすれば本気で求めてしまうから…


本気で求めればこれまでの
築き上げた全てが壊れてしまう事を
理解しあうからそれ以上を
求めない…


壊れて失うくらいなら
半端にその器だけでもいい…
側に置いて置きたいと…


決して心を繋げない二つの
繋がる身体は今もまだ
その情愛を宿したまま…



次の三日月の逢瀬を
幼娘の如く指折り数えて
待ち侘びる。押さえ難い
情欲と秘めた純愛と共に…



−END−
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