夢物語

□☆鈍色狂想詩
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独占欲とは…行き過ぎると
人を狂わせる…

周りは見えず想い人の
一挙一動が気になって…

他の誰かと微笑み一つ交わそう
ものなら…

途端にどす黒い感情が胸を
埋め尽くす。

……他の奴なんか…
……俺だけ見てろよ…?
……なぁ…秀…

『ザッとこんな感じか?』

構図を広げながら組紐屋と
肩を並べ表稼業の打ち合わせをする
秀と竜。

二人にしてみれば何も疚しい所などなく 仕事の打ち合わせをしているだけに過ぎない…。

しかし…勇次の目に映る二人の姿は
仲睦まじく見えるらしく
胸中穏やかではなかった…

『組紐屋の奴…ひっつき過ぎだぜ…』

苛々しながら煙管に火を点け
吐き捨てる様に煙を逃がす。


ふて腐れながら暮れかける
八丁堀を一人歩く。
帰ろう♪とはしゃぐ子供の声や
夕暮れ独特の忙しい空気の中


自然と足が赴いたのは…
秀が住む家の近くの川辺だった。
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