頂き物U

□背負ったもの、背負うもの
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『お父様ーーーっ!!!』





忘れるはずがない



忘れられるわけがない





今でも夜毎に思い出す




あの日交わした父との最後の会話……





そして






『カガリ、幸せに』




思いがけない時に、思いがけない場所で聞いた父の、願いと想い……





「お父様……私は……私のとるべき、進むべき道は……」





あの日、お父様が私を宇宙へ飛ばしてくれたおかげで私は今、生きて、ここにいる。


私がお父様に変わって、お父様の果たせなかった理想のオーブをつくる。



地上の楽園と呼ばれるオーブという国を……



みんなが笑っていられる世界を……




私の人生の全てを賭けて!!


だが、たった1つ気がかりなのは……






『君は俺が護る』







アスラン……







お前がいたから、私は……








お父様が亡くなって悲しくて悲しくて……


突然キラと双子だと言われ、お父様の代わりにオーブ軍の最高司令官になり……




私にはますますお前が必要なのに……

なのにお前は……






『生きる方が戦いだっ!!!』








あの時、ほんとは私に向かって叫んだのかもしれないな……





「生きる方が……戦いだ……」



澄み渡った青空に向かって幾度も幾度も繰り返す……

まるでおまじないのように……

呪文のように……




澄み渡った青空はあの日、私達が出会ったあの日のように青々としていた。



「ん〜っ!!気持ちいいっ」

冷たい海水に浸った素足の下で砂が脈打ち足元をすくう……

(この島はあの頃のままだな……)


久しぶりに体全体で感じる自然の息吹きに大きく伸びをすると

「……君もここにきてたのか」

「ぇ??」

バシャバシャと近づく音は突然止まり、私は彼の腕の中にすっぽりくるまれた。


そっと顔だけを横に動かせば、そこには朝日を浴びた彼の姿……



「アス……ラン……」




久しぶりにアスランの匂いに包まれ、私はそっとその鍛えられた背中に腕を回し、静かに顔を胸にうずめた。





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