ぴかちぇの冒険☆
□第T楽章
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第1話『ウサギになっちゃった!?』
「………………ここは……………?」
気がつくと、青々としげった背の高い草の間にうずくまっていた。
「………どこだろう………?」
こんな場所、来たことなんてない。第一、こんなに背の高い植物なんて存在しただろうか?ヒマワリだってこんなに高くはない。
地面に根を張った鮮やかな黄色のタンポポが視界に入った。タンポポの大きさも非常識だ。
辺りを見回そうとしても草に視界を遮られている。
空は青く澄んでいる。空気が驚く程美味しい。かつて自分が住んでいた場所より遥かに………。
………ガサゴソ……。
どこかから草をかき分けて進んでいく音がする。そしてその音は段々大きくなっている。誰かがこちらに近づいて来るようだ。
そうだ。その人に道を訊こう………。そう思って、音のする方へ向いた。
ふとこの時、あることに気づいた。
………二本足で立てない。
と言うことだ。
人間なのに二本足で立てないなんておかしな話だ。
すると、目の前の草が退かれてとがった鼻先が顔を出した。
(ああぁっ!)
先程した、草をかき分ける音は、このとがった鼻先の持ち主が立てたのだったのだ。
それは人間ではなく、美しい銀と白の毛皮に覆われた大きな犬……オオカミだったのだ。
「おっ旨そ……」
「え………?」
そのオオカミの口からよだれが一滴垂れた。口の中は、鋭くとがった肉食獣特有の牙が顎の輪郭に沿って綺麗に整列していた。噛みつかれたらひとたまりもないだろう。
タンポポに限らず、このオオカミもやけに大きい。
「オレ三日間何も食ってないんだよな〜!」
奇妙なことに、このオオカミは喋った。しかも人間であるはずの自分に「旨そう」と……。
「ヒト食いオオカミだ!!」
と、その場で直感したが、そんなオオカミなんて見たことも聞いたこともない。
するとオオカミは歯をむきだしてこちらへ襲いかかって来た。
「きゃああぁ!!」