ぴかちぇの冒険☆

□第T楽章
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 ──え? どういうこと!?


 何だか混乱してきた。
 二本足で立てなかったのも、喋るオオカミが「旨そう」と言って追い掛けて来たのも、そのオオカミから信じられないスピードで逃げて来れたのも、自分がウサギだったからなら頷ける。
「……ここにはいないって……?」

 ──だけど、何で? 自分はウサギになったのだろう………?
 昨日までは平凡な人間の生活を送って来たと言うのに………。

「……ここって、神奈川県の大磯じゃないの?」
(↑地元神奈川の適当な地名。作者の故郷じゃないですよ)
 フィルはポカンと口を開けていた。
「どこそれ?
ここはあにまるワールドのドーナツランドのサザン大陸だよ?」


 ──はい?

 高校で地理を習ったけれど、そんな地名、まるで聞いたことがない。
「……えっ………と……………。
神奈川県は………ん〜と、太平洋の西の日本っていう場所の………真ん中………かな?」
 ここは外国なのかも知れないと思って、日本の事も話した。
 だがフィルは更に頭を傾ける。
「え………っと、ユーラシア大陸の東にあるんだけど…………。
うーん、分かんないかなぁ…………」
このウサギの言葉を聞いていたフィルは思った。

 ──このウサギ、本当に人間だったんだね。
 人間のいない世界、あにまるワールドには存在しない地名を言っているのだから。
 それに………
 このウサギは滝をおりるときに、頭からではなく、お尻からおりていたから。
 正直後ずさりするウサギなんて見たことなかった。
「え〜っ、どうしよう……」
 人間に戻りたいのになぜか戻れない。
 地元に帰りたいのに、別世界から帰る術なんてない。
 ウサギは途方にくれてしまい……。
(……このウサギ、どうしたらいいんだろう?)
 フィルもまた、途方に暮れていた……。
「と……とりあえずさ、名前教えてくれない?」
 何だか名前を訊くのが遅すぎてしまったが………。
「え〜………アタシの名前はぴかちぇ」
「……ふぅん。ぴかちぇって言うんだ………」
「うん………」
 ぴかちぇはどうしようか困りきってしまい、頭を抱えていた。
「ねぇ……大丈夫?」
「全然大丈夫じゃないよ……。
帰るところもここにはないし……」
 ぴかちぇは涙目になりながら訴えた。
「……帰るところがない……か……。
……だったら、僕の家に来なよ」


To be Continued...



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