*brotherS*

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その日は雲が空一面を覆い今にも雨が降りそうな日だった。杜琶は今日はバーテンの仕事は休みで昼間のカフェの仕事も定時の5時で終わる。そして次の日は夜からバーテンの仕事がある予定だった。明日何しようか何て考えながら仕事をしていると携帯が震えメールが届く。杜琶は携帯を取りだし内容を見ると











━━━━━━━…………






『ごめんなさい;!!待たせちゃった;?』


棗「杜琶、そんなに走ったら危ないぞ?さっき着いたところだ。そんなに待ってない。」


『それでも待たせちゃってごめんなさい。行きましょうか!?』


棗「あぁ。」






仕事中に棗からメールが届き桃を貰ったからお裾分けのメールを貰ったのだ。ついでに夕飯も一緒にどうかと杜琶はメールをすると棗の家で食べることになった。







『棗君は、明日仕事?』

棗「ん?休みだ。」


その言葉を聞くと杜琶は目を輝かせ



『今日、泊まっても良い♪?』

棗「………………別にかまはない。」


そう言えば杜琶はやったーと、嬉しそうにはしゃいでいた。棗はそんな杜琶を可愛いなと思いつつも男の家に泊まるのに…況しては付き合ってもない男のうちに泊まるのに抵抗はないのかと思った。そして同時に男として見られていない悲しさも込み上げてきた。






棗〈こうなったらこのチャンスに距離を一気に縮めてやる…〉





そう意気込んでいた。そんな事を棗が考えているなんて杜琶は思うはずもなく。逆に杜琶は男の子の友達のおうちに泊まるのは初めてだとワクワクしていた。それだけ仲良くなれた事が杜琶にとって嬉しかったのだ。





『棗君なに食べたい?何でも作ってあげる♪』


棗「じゃー……」







━━━━━━━━…………




『できたよー♪』


棗「ん。おっ美味そう。」



棗の要望により、和食と言われ一緒にスーパーに行き材料を買いお酒を買い杜琶が映画が見たいと言いTSUTAYAでホラーを借りていた。本人いわく…見たがりの怖がりだと言っていた。




本日のメニューは麩とネギの味噌汁、雑穀米、筑前煮、レタスと胡瓜のサラダ、鮭のホイル焼き。と健康的なメニューになっている。




いただきますと二人で手を合わせるとご飯を食べ始めた。杜琶は棗が筑前煮を食べるのをジーっと見ていると棗が視線に気づき





棗「そんな心配そうな顔しなくても杜琶が作った飯は美味いよ。味加減も丁度良いし俺好みだ。」




そう言うと杜琶は少し頬を染めて嬉しそうに微笑むのだ。棗はその笑顔を直視し顔を真っ赤にした。杜琶は良かった♪と言いながら私も食べよとご飯を食べ始めた。棗は顔を見られないように俯いていたが…






杜琶の笑顔は反則だ……あんなに綺麗に微笑む子はそうはいない。棗だけに笑いかけた笑顔。それは花が咲いたように愛らしくて棗はまた杜琶に胸を高鳴らせるのだ。







『んー♪美味しい♪あっつーちゃんとあーちゃんにご飯あげなきゃ!?』



そう言って杜琶は棗が飼っている双子の猫の椿と梓にご飯をあげると2匹の猫は杜琶に擦り寄っていき甘えていた。杜琶は、ソレを嬉しそうに構っていた。




『棗君ビール飲むよね?アサヒ?エビス?』

棗「あぁ悪いな?エビスで頼む。」


杜琶はわかったと言うとよく冷えたビールを持ちコップに注ぎ酌をしてくれた。





棗「クーッ……冷えたビールは上手いなぁ♪」


『本当に?じゃー私も…』
棗「駄目だ。杜琶は酔うだろ?」
『明日仕事は夜からだもん!!缶1本だけ!!』

棗「………解ったよ;でも!!これにしろ。」



そう言って棗は自分が少し飲んだエビスを渡した。杜琶ははーいと嬉しそうにビールをコップに注ぎゴクゴクとのんだが





『……………』

棗「苦いだろ?」

『……私は何時になったらビールが美味しく飲めるのかしら?』

棗「ホラッ杜琶のは俺が飲むから…」

そう言って棗は杜琶が飲んだエビスを自分のコップに移し飲んだ。





ご飯を食べ終わると杜琶が洗い物をし始める。棗は洗い物くらいやると言うが杜琶は私がやるからその間にお風呂にでも入ってきたらと言うのでそうすることにした。




棗は一人、湯船に浸かりながら新婚てこんな感じかなと考えていた。杜琶と結婚したら毎日が楽しいだろうなと思っていた。ご飯は美味いし家事は得意、働き者で気も利いて…美人で優しくて…



棗「杜琶の彼氏は幸せだろうな……」



だがふと棗は思った。確かに杜琶は美人で棗たちと仲良くなってその間に彼氏がいたこともあったがすぐに別れていた。そして何時も杜琶がフラれていた。あの杜琶がだ…よくよく考えたらフラれた理由も言わないし傷付いた素振りもないし寧ろこちらとしては別れてくれて嬉しいのだが…





本人に聞くわけにもいかないし棗のなかにしまっておくことにした。そして棗は杜琶が、待っていることを思いだし急いで髪と体を洗うと風呂を後にした。










━━━━━━━…………



棗「杜琶ー出たぞ?次、どうぞ。」

『早かったね?もっとゆっくり入ってて良かったのに?』

棗「いや何時もこんなもんだ。」

『じゃーお風呂借ります。』




そう言って杜琶はお風呂に入っていった。棗は髪をタオルで乾かしながら缶ビールをもう一本開けるとぐいっと飲んだ。ビールの苦味と冷たさが喉を潤す。うまいなぁと、染々棗は思った。








暫くすると杜琶が風呂から上がって来た。棗は杜琶の服装に一瞬固まった。杜琶は大きめの白のニットプルオーバーに下は白地に黒の水玉のショートパンツ。脚の露出が…杜琶の美脚が…と、棗がボーッと杜琶を見ていると杜琶はどうかしたのかと聞いてきた…。本当に無防備にもほどがある。









そして二人な並んでホラーを見始める。映画のタイトルは"四ツ谷怪談さっちゃん"と言うものだ。何でも杜琶の、弟の遙がオススメしてきたとの事で選んだらしい。






二人で缶のチューハイやらワインやらウイスキーやら買ってきたお菓子をテーブルに並べ見ている。杜琶は始まる前から猫の椿と梓を膝にのせ見ている。





杜琶はウイスキー片手にお菓子を頬張りながら映画を見ている、だが所々で大きな音やお化けが出てくると肩をビクーッと震わせて短い悲鳴を上げていた。棗はソレが可笑しくてプッと吹き出すと杜琶が、それに気がつき棗の方を見ると何故かふふっ笑い棗の方を手を伸ばし





『棗君たら……ここお菓子ついてるよ♪』
棗「えっ?」


棗の口の横についていたお菓子を杜琶は取るとそのまま自分の口に入れて食べた。そしてヘラっと杜琶は笑うと



『棗君可愛い♪』

棗「ッ;/////─────………」


恥ずかしさと可愛いと言われたことに棗は顔を真っ赤にした。それがバレないように杜琶が飲んでいたウイスキーを、一気に飲み込んだ。杜琶をおー♪良い呑みっぷり♪と言っていたが棗はウイスキーを飲んだことを後悔した。喉が焼けると言うか一気をするものではない…瞬時に体に酒が回るのがわかった。









杜琶はじゃー私も何て言ってウイスキーを棗が飲んだものよりも多く注ぐとソレを一気に飲み干し美味しい♪と言っていた。本当に杜琶の体はどうなっているんだと棗は疑問に思うばかりだ。





そして映画に視線を戻し見ていると話の内容は二人組のカップルが夜のドライブで事故に遭い病院に搬送されるが一組のカップルは二人とも助かりもう一人の彼氏は死んでしまったと言う内容で彼女とカップルは1つの病室にいるのだがドアの外にはその彼氏がいてドンドンとドアを叩いて彼女をあちら側に引きずり込もうとしている……





だが本当は彼氏は生きていて友達のカップルは即死で彼女は瀕死だった。彼氏は彼女を引き戻そうとずっと呼んでいたのだが友達のカップルは彼女を自分達と一緒に死なそうとしていてずっと引き留めていた。だが彼女は彼氏と一緒なら死んでもいいとドアの外に出るとソコは病院のベッドの上だった。彼女は一命をとりとめ彼氏と良かったと喜んでいると目の前には彼氏の顔があり天井が見えなかったが彼氏が退くとソコには……





『きゃぁああっ;||||』

棗「Σびくぅっ;|||」




さっちゃんがいた。棗ですらビックリする内容だった。杜琶はと言うと棗の腕にしがみついて肩を震わせていた。そして怖いーと少し震える声で言うのだ。そんな杜琶が可愛くて





棗「んじゃここ来るか?」


棗がここと指したのは棗の脚の間で棗は来るわけないよな…と思いながらも言ってみたが




『うん……棗君ありがとー…』




杜琶はなんの抵抗もなく棗の前にちょこんと座るとあまつさえくるっと振り向きおっかかっても良いかと聞いてきた。良いぞと言うとありがとうと微笑むのだ。なんと言うか……






『遙もね一緒に映画見ると何時もこうしてくれるのよ♪』


棗「…………そうか。」





すべての根元は遙のせいだと悟った。杜琶が男に対して警戒心がないのは遙のせいだと。
本当に遙はシスコン何だと改めて理解する。そして杜琶もまたブラコンだ。この兄弟は全く………



棗は自棄になり杜琶を後ろから抱き締めると



棗「これで怖くないだろ?」


『棗君……うん♪棗君遙みたい♪優しいねありがとう♪』





まずは遙を杜琶の中から追い出すのが優先事項だなと棗は理解した。にしてハードルが高いな…





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