*brotherS*
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棗は杜琶が帰った後、風呂に入りシャワーを浴びて軽く朝食をとると携帯をだしある人物に電話をした。
「もしもし?どうしたの、棗兄さん…?」
棗「急に悪いな琉生。今平気か?」
棗が電話を掛けたのは棗の弟の琉生だった。
琉生「うん、平気、だよ。」
棗「琉生、杜琶の弟の遙の番号ってわかるか?」
琉生「遙?…解るよ。どうしたの?」
棗「ちょっと話がしたくてな?」
琉生「それなら…うちに来れば良いよ。遙…今、うちに遊びに来てるから。」
とのことで棗は実家に行くことになった。久しぶりの実家だと思いながら、それでも妹の絵麻が来てからはそれなりに行くようになったなと思った。
遙「何だって琉生?」
琉生「んー。何だか、棗兄さんが、遙に、用が、あるみたい、だよ。」
遙「棗さんが?……ふーん…」
遙は棗が自分に何の用かと考えたがすぐにソレは杜琶の事だと予想がつく。初めに気が付いたのは棗かと遙は思っていた。まぁ棗が来るまでにはまだ時間はある…
遙「琉生♪続きしようぜ♪右手出してー。」
琉生「うん。はいっ遙…可愛く…してね?」
遙「任せろ♪」
遙と琉生はお互いの爪にマニュキアを施し美容師の練習をしていた。琉生はもう遙に施し次は遙の番なのだ。棗が来るまで仕上がるよう遙は集中した。
━━━━━━………
一時間もすると棗はマンションにつく。オートロックを解除してもらおうと連絡しようとしていた。すると背後からよく見知った声が聞こえてくる
椿「あれぇ〜?棗じゃん?珍しい。」
梓「本当だね?どうかしたの棗?」
棗「椿に梓…ちょうど良かった。家に入れてくれないか?ちょっと用があってな…」
ソコには棗の三つ子の兄達である、椿と梓がいた。二人は出掛けた帰りなのか手には本屋の袋とケーキ屋にでもいったのだろうか箱形の
入れ物を持っていた。
椿「用?誰に?」
棗「杜琶の弟の遙が今、ちょうど琉生といるらしくてソレで来たんだよ。」
梓「遙に用?まさか杜琶に何かあった?」
さすが梓…鋭いなと棗は思った。だが今回の事は棗の問題だ。もしかしたら杜琶にとってとても重大な問題かもしれない…だから棗は
棗「ちげーよ。遙にゲームのサンプル持ってきただけ。杜琶は関係ない。」
椿「なぁーんだ。なら梓と今からDVD見るけど用が終わったら棗も来いよ。待ってるからさ。」
棗「あぁ解った。」
梓「……………………」
椿はうまく誤魔化せたが梓はどうだか…とりあえず中にはいると琉生と遙がいるリビングに棗は向かった。
━━━━━━━━━━……………
棗「琉生、いるか?」
琉生「棗兄さん…おかえり、なさい。遙も、いるよ。」
遙「こんにちわ。お邪魔してます棗さん。」
棗「遙……少し話があるんだが良いか?」
遙「はい。大丈夫っすよ♪」
そう言う遙は棗が何を言いたいかわかっているようだった。
棗「急に来てこんな事を遙に聞くのは何なんだが……杜琶は前にもしかして恋愛で何かあったのか?あったんだったら教えてくれないか?」
遙「………では仮にあったとしてもどうして俺がソレを棗さんに話すと思うんですか?それに棗さんはソレを聞いてどうするんですか?」
遙はそう笑顔で言うが正直…目は笑っていない。寧ろ今の姿勢は真っ向から棗を叩き潰す勢いだ。否、叩き潰すつもりなのだろう。遙も大人だ…対応は大人だが棗だって譲れないものはある
。そして棗は
棗「遙…お前はきっと話すよ?全部じゃないにしろ何かしらを…それはお前が杜琶の事を本当に大切に思っているから…思っているからこそ過去に捕らわれている杜琶を助けたいと一番思っているのは遙…お前だからだ。」
遙「───…………」
遙は正直に驚いた。棗がこんな手で来るとは思っていなかったから…棗がそんなことを言うなんて思っていなかったから。ソレにあらかた予想をつけて来たのがよくわかるし遙の事も良く解っているなと遙は本当に感心した。棗の仕事は確かゲームの営業マンだったか………きっとやり手なんだなと遙はこの会話だけで解った。
遙「すみません………正直少し侮りました。流石、琉生の兄貴ですね。すべては俺の口からは語れません。ソレでも良いですね?」
棗「構わない……ソレで良い。」
遙「なら俺からも1つ良いですか?棗さん…杜琶に気持ちを伝えたんですか?」
棗「…………いや。伝えてはいない。というよりも言わせて貰えなかった……その前に止められたよ…言ったら2度と俺の前には現れないってな。」
棗はそう言うと悲しそうに顔を歪めた。だがそれとは反対に遙は驚いた顔をしたが一瞬考えるような素振りを見せ、深い溜め息を吐いた。
遙「…そっかー…言わなくて正解ですよ棗さん。否、………違うな。言わせてもらえなくて正解ですよ。」
棗「何でっ;!!」
遙「……あー棗さんその前に良いですか?椿さん梓さん居るのバレてますよー…」
棗「はっ;?」
遙がそう言うと二人は上の階に隠れていたのかゆっくりと姿を表し棗と遙が話しているリビングに降りてきた。
椿「良く気づいたな遙?」
梓「本当に……何時から?」
遙「…そうですね…棗さんが杜琶の話を切り出した少し後ですかね?その辺りから二人の気配を感じましたよ♪」
気配って…と椿は呟くと二人は棗のとなりに腰を下ろす。
棗「何でいるんだよ!?部屋でDVD見てるんじゃなかったのかよ?」
梓「ソレを言うなら棗だって杜琶の事で用があったんじゃなかったはずでしょ?」
椿「嘘ついたのはお互い様だろ?」
そう言えば棗はそうだが…と渋々納得するしかなかった。
遙「んで?どおします?お二人は…」
遙は横目で椿と梓を見ると二人は
椿「何言ってんの遙?」
梓「そうだね…今更だよね…」
椿「俺達だって杜琶を譲る気なんかねーよ。」
梓「僕達は…杜琶の事、本気だし杜琶が苦しんでいるのなら僕はソレを救いたい。」
椿「俺もそれは一緒だ…杜琶の事…誰にも譲らないよ。」
遙はふーん…と言うと琉生が入れてくれたコーラを飲み
遙「解りました………今から話すことは絶対に杜琶には言わないで下さい。ソレだけは必ず約束してください。」
遙の言葉に三人は黙って頷いた。
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