*brotherS*

□★10
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『うぅ゙……;』








ぎゅうぎゅうに詰め込まれた電車に普段、あまり電車に乗らない杜琶は乗っていた。買い物で原宿に来てお気に入りの服屋で服を買いその帰りなのだが帰宅ラッシュに巻き込まれドア付近の壁に押しやられていた。










電車は便利だと思うのだが如何せん、こう言った状況が好きにはなれない。帰宅する学生やサラリーマンに押し潰されながら杜琶はあと4駅で降りる駅だと安堵していた。だが










━━━━━さわっ………





『ッ─────………;|||』







お尻に手が当たってる…。杜琶はそう思ったがこの状況でもしかしたら女の人が間違えて当たってしまったのかもしれない…
そう考えた次の瞬間





━━━さわっ……



『ッ──……;|||』




また手が……だがその手はさっきよりも長く杜琶のお尻に触れていた。まさか……と思いガラス越しに後ろを見てみると







『っ…;|||』



スーツをきた太り気味の中年男性が杜琶の後ろにピッタリとくっついていた。まさかこの人が?さっきまでただ当たっていただけの手がお尻を撫で始めた。杜琶は恐怖と恥ずかしさで何も言えず何も出来ずただ早く着いてくれと願っていた。








その男は次第に杜琶のお尻を撫でるだけでは飽きたらずもみだした。杜琶は真っ青になりカタカタと震え出す。









誰でも良いから…誰か助けて!!






そう願った瞬間……









「おいおっさん!?いい加減にしろよ。」



『えっ?………』





後ろから怒鳴り声が聞こえると思った瞬間、さっきまで杜琶のお尻を触っていた手の感触が消える。杜琶は不思議に思い後ろを振り向くと








『っ─────…………』







ソコには燃えるような赤い髪をした高校生らしき男性が中年男の手を掴んでいた。





中年「なっ何をするんだ;!!」


学生「何するんだじゃねーよ!!テメーさっきからずっとその人の尻さわってたろーが!!」


中年「いっ言いがかりは止してくれ!!どこにそんな証拠があるんだ!!」



学生「っ!!てめぇ!!何を白々しく!!」



杜琶の目の前にいる高校生は杜琶のために中年男性と戦っている。知り合いでも何でもないたまたま同じ電車に乗り合わせてたまたま近くに乗ってたまたま現場を目撃しただけなのにこの高校生は……








杜琶は高校生の前に行き、中年男性に





『この人が私のお尻を触っていました!!』


中年「なっ;!!何をっ!!」




すると電車内はヒソヒソと痴漢だ…最悪…気持ち悪い等の声が聞こえてくるとたまたま電車が駅につき、男は逃げるように降りると人混みに消えていった。まちやがれっ!!と高校生が叫んだが男はそのまま振り向くことなく逃げた。そして電車はまた走り出した。






学生「おいっあんた…大丈夫か?」


『あっはいっ;。あのありがとうございました。助けていただいて、本当にすみませんでした。』


学生「何であんたがあやまんだよ。あんたは何も悪いことしてねーだろ?まぁ災難だったな。」


『本当に……普段はあまり電車に乗らないからこんな事、初めてで…』


学生「そうか。まぁ気を付けろよ。」







そう言って笑う高校生は何だかとても可愛らしかった。年相応…なんと言うかこの高校生を見ていると昔の遙を思い出す。そして次の駅に着くと高校生はあのっと引き留める杜琶の声を聞く間も無く降りてしまった。







彼にお礼がしたい。誰も助けてはくれなかったあの中で助けてくれた彼に。







『番号…聞いておけばよかった。私ってダメね。あんな良い子、滅多にいないのに…』





助けてもらったのにお礼をしないのは杜琶の性格上、どうしても引っ掛かるし気がすまない。それに嬉しかったから…






『名前も聞き忘れた……私のマヌケ…』










━━━━━━━━…………








『それでね!?その高校生がね!?』



遙「へぇ〜。」




家についた杜琶は今日あった事を弟の遙に愚痴りながら聞いてもらっていた。遙は表面上、大人しく聞いているが内心はその中年親父を殺したくて仕方がなかった。そんな遙の気も知らずに杜琶はその高校生について熱弁をしていた。だがやはり遙は我慢できず










遙「つかさぁ……はぁ?」


『…………………えっ;?』



遙「中年親父に俺の可愛い杜琶の尻が触られたとか本当に有り得ないんだけど………何そいつキモすぎるだろ…くそクズが…殺したいつか殺す…つか死んでくれ。あーもう!!本当に許せねー!!」











クソーッ!!と怒り叫ぶ遙に愛犬エステルも同意見なのかワンワンッ!!と吠え始めた。そんな二人が可笑しくて杜琶はクスクスと笑っていた。








『あーでも…本当に世の中には物好きっているのね?私のお尻なんて触ったって何が楽しいのかしら?』





遙「……………杜琶…。」











何故かその後、遙に一時間も正座をさせられ説教をされたのは言うまでもない。遙は不機嫌かつ真っ黒な笑顔を杜琶に向け、杜琶のその自分自身を過小評価する悪い癖をどうにかしろと怒ったのだ。













━━━━━━━━━…………








『ってことがあったの!!どう思う祈織君!?』




祈織「……………。」








今は昼間の仕事のカフェの休憩中、祈織と休憩をもらい珈琲を飲みながらこの間あった痴漢の事や高校生の事、そして一時間、遙に怒られたことを祈織に話していた。








祈織「それは災難でしたね杜琶さん。でも遙さんが怒るのも解りますよ。」


『Σえっ!?どうして?』


祈織「だって杜琶さんは美人ですよ。綺麗で可愛くて優しくて頭もよくて聡明で……高嶺の花…って感じです。」




『祈織君……そんな気を使わなくて良いんだよ?私なんて…』
祈織「杜琶さん?僕は気なんて使っていません。僕は本当に思った事しか言ってないです。杜琶さん……貴方は本当に美人ですよ?だから気を付けてください。遙さんが思うように僕だって杜琶さんが痴漢にあったりするのは嫌ですから。」





『祈織君………ありがとう///♪』



祈織「ッ─────……////」





そう言って微笑む杜琶は本当に綺麗で、祈織はその笑顔に見惚れていた。自分でも頬が赤くなるのがわかった。胸が高鳴って心臓が煩いくらい早鐘を打っていた。








やっぱり朝日奈兄弟は暖かい人たちばかりだなぁ…本当に素敵。杜琶は改めて祈織を含む朝日奈兄弟の事を好きだと認識した。































その日の仕事も終わり、杜琶は自宅に帰ろうと歩いていた。すると後ろからカツカツと歩く足音が聞こえてくる。だが杜琶は気にすること無く歩き続けた。だがその足音は杜琶の事を追い越すこと無く一定の距離を保ち付いてきていた。










何だか変な感じだな……そう感じた杜琶はチラリと後ろを見てみるとソコにはカフェの常連さんの30代前半のサラリーマンの男の人がいた。








《あの人…確かうちの常連さん……》






いつも端のテーブルに一人で座って珈琲を飲みながら仕事の休憩の合間に本を読んでいる。物静かだけど読んでる本は杜琶好みの作者だったりした。猫舌で熱いのが苦手だからいつも少しぬるい珈琲を作っていた。









《あの人…こっちの方向なんだ。》




杜琶はそう思いつつも、何処か不安は取り除けずにすぐそこにあったコンビニに寄ることにした。ミルクティーを買い雑誌を軽く見るとコンビニを出て帰ろうと道に出ると









『えっ……』










男はコンビニの前の道で携帯をいじっていた。杜琶は嫌な予感しかしなくそれでも何かの勘違いかもしれないと家への帰り道を歩く、だが杜琶が進みだすと男もまた杜琶の後ろを一定の距離を保ちついてきたのだ。












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