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□*ハイキュー*
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あぁ、何て……
何て滑稽で退屈なんだ。
希望が失われた瞳
絶望の眼差し
何の面白味もない
ただ淡々と………
つまらない
つまらない
つまらない
つまらない
私が愛したモノは
こんなものじゃない
私が求めたものは
こんなものじゃない
約束された勝利など
絶対的な勝利など
つまらない
『監督、私が抜けた場合。チームの勝利を左右されますか?』
「何を下らない事を言っているんだ。お前が抜けてもチームの勝利は揺るがない。」
だろうな……
あぁやはり
『では今日付けで私は退部させていただきます。長い間、お世話になりました。』
「なっ;!!おい‼世良(せら)ッ;!」
━━━━━━…………
退屈で仕方無かった。
王者などと持て囃され
淡々と行われるソレは
私にとって息が詰まった。
それでも嫌いになりたくなくて
私は自ら去ったんだ。
だけど私は本当についていた。何気無く見に行った宮城県男子中学バレーボール総体。そこで運命の出会いがあった。
優勝候補と思われしき学校と戦う弱小校、ソコに彼はいた。小さな小さなエース。見ればメンバーの二人は、バレー経験者ではないようだ。大会のために駆り出されたメンバーを入れ彼は必死に戦っていた。
必死にボールを追う姿、諦めない姿勢。バレーが好きで好きで堪らない、その熱意が彼からは伝わった。
中々、上がらないトス。だが何とか上がったトスはトスとは言えないモノだった。だけど彼はそのトスを敵のブロックをすり抜けコートに叩き込んだ。
『っ────────…………;』
全身に鳥肌が立つのが解った。
この高揚感、あぁそうだ。何時ぶりだろう?私がずっと求めていたもの。
私がずっと欲しかったもの。
ソレを彼は持っている。ソレを彼は魅せてくれる。そう確信した。
『見つけた………私が……私がずっと欲しかったもの。私が愛してやまないモノ……』
その試合は彼のチームが勝つことはなかった。涙を流す彼がとても愛おしいと思った。
────────…………
『あっ…ねぇ!君っ‼』
「Σえっ;!?俺;?えっと何か用?」
急に声をかけられ驚く彼に私はフッと笑った。
『うん。急に声をかけてごめんなさい?今日、貴方の試合見たわ?かっこ良かった。』
「───……ありがとう………でも負けた。」
『うん。そうだね。』
「俺は………少しでも長くコートに立っていたかった。もっと試合がしたかった。」
『そうね。その気持ち、良く解るわ。』
「俺はアイツに勝って……コートの王様に勝って少しでも長くコートに立つんだ‼」
『………………』
彼のその強い瞳に惹かれないではいられなかった。私が無くしてしまったモノをあのチームが無くしたモノを彼は持っている。彼はソレを私にきっと感じさせてくれる見せてくれる。そう確信したんだ。
『なら今のままじゃ駄目ね?今の貴方じゃ彼の足許にも及ばないよ?』
「っ────………;!!解ってる;!!解ってるけど……;」
『ねぇ?貴方、高校は何処に行くの?』
「えっ;?高校?一様、烏野高校目指してる;」
『そう……確かその高校、全国に行ったこともあったね?………烏野か……うん、解った。あっ名前。名前教えて♪私は透よ♪貴方の名前は?』
「俺は翔陽、日向翔陽‼」
『日向翔陽…………うん、覚えた。良い名前ね♪貴方きっと強くなる、また会う時まで変わらないでいてね?ずっとバレーが好きでいてね?』
「嫌いになんてなるわけないだろ?」
その答えに笑顔にならないではいられなかった。そして歓喜余って日向に抱き付いていた。
ソレが私と彼との出会い。そして時間は流れ烏野高校入学式。新入生代表として早めに登校していた。クラス分けの表を見てみるが残念ながら日向とは別のクラスだった。それでも日向の名前を見つけ、嬉しかった。そしてもう1つ……何の因果か彼の名前も。その事に微笑まないではいられなかった。
入学式も無事に終え、クラスに戻ると席は一番後ろだった。ラッキーと思いながら席につくと隣には眼鏡をかけヘッドフォンで音楽を聴く長身の男の子がいた。背も高いが体格も良い、何かスポーツをしているのは解った。
それがバレーだったらどんなに素敵かと思う。
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