*K&B*

□*いつかの夏
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君が泣かないように

私は大丈夫の呪文を


自分に聞かせ

いつでも笑顔でいるよう

もう泣かないって


決めたんだ―――………













━━━━━…………



夏休み
空の青をくりぬいたように浮かぶ雲がこの休みをどう過ごすか方程式以上に頭をフル回転させる貧乏学生達の健闘を祈っている。







夏休みが始まって三週間、文月は今日も夏休みの課題と模試試験用の勉強をしていた。課題の方はほとんど終わっているので模試の勉強をしていると言った方が正しい。





文月の夏休みの過ごし方は課題を早く終わらせ、残りをほかの勉強に費やし友達と遊ぶのが日課になっている。




今日はお世話になっているおうちの人は二時過ぎにならないと帰らないため家で留守番をしているのであった。





そんな文月も一息着こうと買っておいたジュースに手をかけると携帯がなりだしメールが届く。送り主はどうやら春のようだ。





『春ちゃん?何かあったかな?』




春からのメールを開くと今日行われる夏祭りの誘いメールだ。文月はすぐに行くと返信するとまたメールが届く、だが今度は春でなく祐希からであった。




『あれ?祐希君?』




内容を確認しようとするとメールを送ってきた本人、祐希から着信が入る。文月は慌てて通話ボタンを押すと




『もしもし祐希君?どうしたの?』


祐「今日、夏祭り文月も行くよね?俺達この間のところまで迎えに行くから一緒に行こ。」



『あっうん♪……でも悪いから今度は私が祐希君達のおうちまで行くよ?』



祐「うーん………文月今何してるの?」


『今?模試の勉強をしていて休憩してるとこだよ。』



祐「じゃーそれ終わったらうちで祭りの時間まで遊びませんか?」



『えっ♪いいのっ♪うん行くっ♪』




祐希の誘いに返事をし、また連絡すると言うと電話を切り夏祭りのために模試の勉強にまた取り組んだ。





━━━━…………




二時になり家の人が帰ってくると祭りに行くことを伝え、了承を得るとお風呂で汗を流し着替えて軽くメイクをすると祐希の家に向かう。





祐希に連絡をいれ、待ち合わせ場所を決めるとそこへ向かった。文月の方が先につき、祐希を待っていると知らない男性が声をかけてきた。




「うっわ♪君めっちゃかわいいね♪ねぇ今から暇?俺と遊ばない♪」


『いえ…;友人を待っているので。』



「えーいいじゃんっ♪絶対楽しいからさ♪」




断るもののそれでもめげずに誘ってくる…正直、しつこくて文月は困っていた。
他にもっと可愛い女性はいくらでもいるのに何で私みたいなのに声をかけるのだろうと頭を悩ませる。







━━━━…………






祐<文月もう来てるかなぁ〜>


祐希は文月が到着した5分後に待ち合わせ付近に着いた。キョロキョロと辺りを見回すとしつこいナンパに捕まっている女性がいるのに気がついた。




女性は男とかぶっているせいで見えないが相当困っているみたいだ。周りを見ても文月はいない。まさかと思い女性に近づくとやはりそこには



祐「文月、何してんの?」


『祐希君;……うんちょっとね;』


「あぁっ!!誰だテメー!!」



威嚇してくる男に対し、祐希は冷めた表情で文月の手を取ると急にお姫様抱っこをし走り出した。




『ゆっ;!!祐希君っ;!!』

「狽ネっ;!!」



男は言葉を発するまもなく唖然と文月達を見ていた。脱兎…まさにこの事だ。
しばらくそのまま走っているが流石に恥ずかしい。そして何よりも




『祐希君っ;///もう大丈夫だから降ろして;///私重いからっ;///』


祐「いやいやむしろ軽くて驚いていますよ。」



文月はその答えに恥ずかしそうに目を瞑り降ろしてぇー;///と訴えた。そんな文月を祐希は可愛いなと思う。



祐希は文月の軽さにも驚いたが文月の体の華奢さに吃驚した。折れてしまうんじゃないかと思うほど細い腕に腰、でも女の子特有の柔らかさがありとても抱き心地が良い。




『祐希君;///本当にもう平気だから降ろして;///ねっ?』


祐「ッ―――……」



頬を染め、恥ずかしそうに潤んだ瞳で見つめてくる文月に祐希はクラッとした。
何とも誘惑的な表情なんだと。これ以上は文月に嫌われてしまうかもしれないと思い祐希は大人しく文月を下ろした。




本音を言えばずっとこうしていたかったが文月を下ろすと"ありがとう"と言われ少し恥ずかしそうに目線を外していた。そんな文月も可愛いなんて思う祐希は末期かなと思った。




*



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