*K&B*

□*泣かない君
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最近……いや夏休みの途中から文月は様子がおかしかった。
夏だというのに長袖や露出の少ない服を着ていた。本人の服の趣味や焼けたくないからと言う理由からかもしれないが






それに背後に立つとビクッと怖がるようになった。本人は誤魔化そうと吃驚したと笑ってみせるがその笑顔ですから前とは違い張り付けたような笑顔になっている事は本人は気づいていないのだろうが






悠「最近文月、何か様子がおかしいよね?」

祐「悠太もそう思う?」


春「えっ?文月ちゃんどうかしたんですか!?」



春は気がついていなかったのか吃驚していた。要はもちろん気づいているが千鶴はどうだか……



要「確かにちょっと変だな…このくそ暑いのにも関わらず一人で長袖黒タイツだし。」


悠「……………」






悠太は自分の考えが杞憂であってくれと思った。文月は女子だ。悠太達、男とはやはり思考が違うのだから何か理由があるんだと自分を納得させた。





だが次の日、文月はマスクをつけて登校してきた。



春「あれ文月ちゃん風邪ですか?」


『あっみんなおはよ。うん;風邪引いちゃったみたいでね;?』



わざとらしく咳をしてみせるが悠太は違和感を覚える。珍しく久しぶりに伊達めがねをしている文月。その日は難なく授業は終わりみんなで帰ろうと校庭を歩いていると




『えっ;………』



文月は驚いたような声を上げる、文月の目の先を追うとソコには花火の時に会ったあの嫌な奴。何故?と思っていると文月に気がついたあの男は文月を呼ぶ




「おいっ文月……ぷっ♪お前、そんなんで隠してるの?」


『やっやめてっ;!!』



「あっなに?もしかしてこいつらに風邪とか言って誤魔化したわけ?駄目じゃん文月〜♪風邪引いてないのにっ♪」


祐「どう言うこと?」



心配そうに見る春と正反対に敵意を向ける祐希、悠太、要……文月は心底この男は最低だと思った。だが文月は笑顔を作りみんなの方に向くと



『何でもないよ?気にしないで?それとごめんね私、やっぱり康平さんと帰るから。じゃーまた明日。』



悠「文月、待って。」


『ッ;|||』


悠太が文月の腕を掴むと文月は痛みが走ったように悲痛の表情になった。その様子を康平はさも嬉しそう




「ねぇー君?聞いてなかった?文月は俺と帰るって言ったんだよ?そんなしつこいと嫌われちゃうよ♪まぁでも―…」


『えっ;|||やっ;!!』



康平は文月を後ろから抱き寄せると右手でギュウッと文月の左胸をつかんだ。文月はその力に痛そうに顔を歪めた。




「こんなに可愛い文月だから仕方ないんだろうけどね♪」



『いっ;|||――…』



春と要、千鶴は頬を染めていたが悠太と祐希は康平を睨みつけていた。文月はこんなところを見られたのとこんな状態にしてしまったのが恥ずかしく悔しかった。



『康平さん……家に帰りましょう;|||みんな……ごめんなさい。』




文月は今にも泣き出しそうな顔でみんなに謝ると行ってしまった。康平は"じゃーねぇ♪"と手を振り帰って行く。
その場に取り残された五人は




要「なんだあいつは;」


千「胸触ってたぞ…」


春「文月ちゃんすごく嫌がっていましたよ;」

悠「あの口振り…多分、文月が今お世話になっているうちの人じゃない?」


祐「だから文月は言うこと聞くしかないんじゃん?でもさーあいつ」


「「「「まぢでむかつく」」」」


春「珍しく意見が合いましたね?文月ちゃん本当に悲しそうでした。ここの所、様子がおかしいのはもしかしてあの人のせいじゃないですかね?」




春にしては珍しくさえてる。十中八九、あいつのせいだと確信した。だが悠太達に何が出来る?
口を出したところで文月の立場が悪くなるだけ………あぁ本当に



悠「俺達無力だね。」

祐「…………うん」





━━━━………





『どうしてあんなことしたんですか…』



「あっ?何が言いたいの?」



『もう学校へは来ないでください。お願いですから』


「んっとに!!オレお前のそのお高く止まった態度嫌いなんだよ。」


『痛っ;!!』



康平は文月の髪を乱暴に引っ張るとその勢いのまま文月の左頬を殴った。


『ッ;!!!』




文月はその場に倒れ込むと康平は冷めた目で文月を見下し"行くぞ"と歩いていった。




いつまでこんな屈辱を受けなければいけないのか…だが耐えるしかない。今の文月に出来るのはそれしかない。ぎりっと歯を食いしばり耐えた。



*


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