*弱虫ペダル*

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総北自転車競技部は合宿の補習を終え、練習に励んでいた。皆、合宿の成果が出たのか格段に成長していた。だが一つ問題があった。小野田はインターハイや本気の試合と言うものを経験したことがない。だからこそ…小野田には覚悟の…真剣さの重みに心が着いていけなかった。頑張らなきゃ…その事だけが空回りし、大役の重みに押し潰されそうになっていた。選ばれるとはそう言うことなのだ。だがそれを支えるのがチームと言うものだ。








『真ちゃんは意外とロマンチストなのよ♪でも私もチームの力を信じるわ♪』





全員が支え合わなければ頂きに登ることは出来ない。その形が…総北…最強チーム。













━━━━━━━━…………








学校は夏休みに入り、今日は部活は休みだ。だが漆世は金城に付き添い自転車競技部の部室にいた。部室にはインターハイの準備がしてある。漆世は金城と自分の飲み物を買うと部室に戻り、ドアを開けると準備した備品に腰かける金城がいた。









『はいっ…アクエリアス。真ちゃん椅子があるんだから椅子に座れば良いのに?』

金城「そうだな。……ジュース代後で払う。」

『いいわよ。奢りよ♪それで?何考えてたの?』


金城「何でもお見通しか?」

『あら?何年の付き合いだと思ってるの?真ちゃんの事はそれなりに解ってるつもりよ?真ちゃんだって……私の事、そうじゃないの?』


金城「ふっ……そうだな。暑かったなって……去年もこれくらい……」


『…………………』









━━━━━…………





1年前に広島で行われたインターハイ男子ロード2日目、 通称第二ステージ。暑さと疲労と緊張で次々と脱落者が出る第二ステージ。金城は、箱根学園エースの一人福富をとらえていた。







先頭は金城と福富の二人……うまくやれば獲れる。ステージ優勝。そしてそれを足がかりにして総北の悲願、総合優勝を!!








後の集団との差は5分、2日目は緊張がとけて気が緩むそれだけにペースも落ちる、真夏のレースは過酷だ。少しでも集中力を欠いたものは脱落する。恐らく集団は追ってはこれない。









今日はこの夏、一番の暑さだと言う。その証拠にさっき給水所で受け取り頭から被った水ももう乾いていた。












福富「よく…ついてこれるな総北…」

金城「!!……………」

福富「一日目のあの、登りでもう息絶えたと思ったが金城……だったか大したもんだな。どうする……残り35キロ。第二ステージ残り1/3だ。おそらく俺たち二人の勝負になるだろう。外から見れば……な?」







福富はそう金城に話しかけ続けた。福富は言った…チームに強い奴が一人でもいれば優勝できると…根本的から金城とは違う。金城は言う、自分は散っていった者の想いをのせて走っていると…一人で走っているのではないと。








金城は福富に離されても追いかけ追い付いた。何故なら金城は……あきらめない男だから。





福富は加速する…それでも金城は追いかけ追い付く。金城の体力は限界が近い…だがそれでも諦めないで福富についていった。ここまで運んでくれたチームメイトのために…






金城「足がついてる限り回すさ…目の前に敵がいれば追うさ…この足には皆の願いがつまってる…オレがオレ一人の意思だけじゃ止められんよ…オレはあきらめない車輪がゴールラインを越えるその瞬間までな!!」








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