*弱虫ペダル*

□*09
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いよいよ始まる──


インターハイ3日目──


最終ステージが──





















鳴子「さぁあて!!来たで来よったでスカシ!!」
今泉「ああ!」
小野田「今日が最終ステージ;……今日、一番でゴールしたチームがインターハイ……優勝;……!!!」

巻島「クハッ!!行くぞテッペン!!」

「「「はいっ!!!!」」」





気合いは充分…



『真ちゃん……膝は平気?』

金城「問題ないさ……回復している。総北は俺達は6人でここまで来た…あとは全員全力。全ての意思を1つにしてゴールを獲るだけだ!!」






漆世と寒崎はテントの入り口で選手とタッチをして見送る。


『皆………頑張って!!』

金城「行くぞ総北!!」

「「「「「おおおおお!!!!」」」」」












彼らの後ろ姿を見送る。あぁ…本当に眩しい……手を伸ばしても掴むのは空だけ……本当に





『全く……追い付けないって言ってるじゃない……。ミキちゃん……皆、かっこ良すぎるわよね!?』

寒崎「そうですね漆世先輩。羨ましいですね……」

『本当……』




────────………………









スタート10分前のアナウンスがかかる選手達はもうスタート地点に並んでいた。漆世達もスタート地点に近い場所で選手達を見ていた。







離れている漆世達にすら緊張感が伝わってくる…正直、この緊張感は嫌いじゃない。寧ろとても好きだ。泣いても笑っても今日が今年のインターハイ最後のレース。金城、田所、巻島、姫宮にとってこれが最後のチャンスなのだ。






彼等の事を3年間ずっと傍で見てきた。毎日ペダルを漕ぐ彼等を……悔しくて泣いている彼等を……勝利に喜ぶ彼等をずっと傍で……





そんな事を考えていると漆世は、背後から近付いてくる気配を気付かなかった。そして…



「ほな」
寒崎「きゃっ;」


『?』


「かわいいのうキミ。彼氏おるの?1年生?エエ?おらんの?」




寒崎に絡んでくる選手がいた。その男は寒崎の肩を組、必要にくっついていた。



「ほなワシと付き合わんか?このレースが終わったら。」

手嶋「オイちょっ;」
青八木「な;!?」
手嶋「離れろっ;!!」

小野田「寒崎さんっ!?」
鳴子「何やねんあいつ!!マネージャー!!」

『ちょっと!!』



漆世はその選手の腕を獲ると寒崎の肩から離れされ間に入り寒崎をに庇うようにして守った。



『うちの可愛い後輩に何か用かしら?』

「っ───………;///こりゃまた美人さんやの///ほー…綺麗な蒼い目じゃのぉ?それに、その強気な目……たまらんのぉ///そうや……なぁ美人さん♪このレースでワシが勝ったら…ワシと付き合わんか?さっきの1年生の代わりに♪」

寒崎「それは無理です。トップゴールもありえません!!後続とは秒差がありますし私達はこの日のために厳しい練習をしてきましたから。」

「なかなかロードレースわかっとるお嬢ちゃんじゃ…一理あるのうけどワシ…モっとるよ?ホシ……ワシは広島呉南工業3年、待宮栄吉じゃ…エエ!!昔から悪運の強い方でのう最後の最後で勝つんじゃワシ…これがオモシロイくらいに1日目──小田原のクランクで落車に見舞われたんじゃうちのメンバー3人もじゃ。けどまとまって走って追い上げて気づいてみれば昨日──2日目足切り50人……今日も走れる50人の中にエエ!!6人全員残っとるんじゃ!!総北サンおたくらホシ…モっとる?のう?美人さん♪」


『っ─────………;』

寒崎「姫先輩っ;!!」

「「「Σなっ;!!」」」




待宮は漆世にズイッと近づくと漆世の胸を鷲掴みに触った。漆世は直ぐに待宮を払い除けると手で胸を隠し睨み付けた。その表情に待宮はにやっと笑うと柵を飛び越えトップ集団の総北、箱学の方へと歩く。











待宮「ホシじゃ…勝利を引き込みツキを呼び込むホシ!!え?ワシか?モっとるよ?エエ!!たぶんおたくら以上に!!」







するとスタート8分の前のアナウンスがかかる。





鳴子「オイコラ!!ワイら集中しとるんや前出んなやボケ。」

待宮「エッエ少しじゃ少し、用が終わったらすぐはけるけんこう言う時はお互い様じゃろ?」




異様な雰囲気に心配そうな坂道。すると待宮は自分は魔法が使えると言ってきた。そして総北の金城の手を握るとごしごしと触り始める。








待宮「めちゃめちゃ僅差だったらしいの昨日のゴール前…エエ!!チームは途中でバラバラになったのに気がつきゃ最後は箱学と互角のゴールスプリント…いやぁホント金城クンはモっとるねホシ。」





すると今度は福富に話しかける。腕をガシッと掴むと腕をごしごしとさするように触れ




福富「何のつもりだ止めろ!!」

待宮「モっとるモっとるキミもモっとるねホシ…第1…第2ステージ……連続優勝…ダブルイエローゼッケン!!いやぁ〜〜〜ゴイス〜じゃ。」

福富「止めろと言っている。」

待宮「もう少しじゃ…もう少し頼むわ…ナァこれがワシの魔法なんじゃワシこうやってモっとるヤツのホシ…すいとることができるんじゃエッエ全部すいとるまでじゃ…ナァ?」









全く場を荒らす……だがこよのタイミングで出てきたのは十中八九意味がある。








待宮「今日の3日目ワシらは呉南と先頭の差は15分──正直、キビシイ分差じゃそれをひっくり返すのは、相当無理がある……エエけど!!100パーセント無理じゃぁない!!何が起こるのか分からんのがロードレースじゃ!!」







それだけ言うと待宮は元の場所に戻ろうとするそして




坂道「あ……;ちょ…あ;あの待ってください。総北はわっ;のわっぷ;!!!」

ドシャッ…

『Σ坂道君ッ;!!』

鳴子「小野田君!!」
田所「小野田!!」
巻島「オイッ;」



変な空気を変えようと話しかけた坂道はバランスを崩し自転車ごと倒れた。そんな坂道に漆世は、救急箱を持ち駆け寄ろうとすると







坂道「そ;総北は………;頑張ります!!もらってるかどうか分かりませんけど総北は全力で頑張ります!!」



『坂道君………』




ああ本当に彼は……何て良い子なんだろう……チームのためにこんなにも……そんな坂道に待宮はキミはホシ…モッてないのぅと言う。そして坂道に、クイズを出す。ロードレースにおいて最も必要不可欠なものは何かと。それに小野田は





待宮「今までの話聞いとりゃ分かるサービス問題じゃ。そうホ」
坂道「じ自転車!!……で…;ですか……違いますか;?」




その答えに待宮はバカにしたように笑っていたが漆世は違う意味で笑った。そして倒れている小野田に駆け寄ると








『ねぇ?呉南の待宮君………さっきの話…乗るわ?貴方が一番でゴールしたら私…貴方の言うのと何でも聞くわ?』

待宮「ほんまか?」

『ゴール出来たらの話よ?……でも正直、貴方には無理よ?だって勝つのは私達……総北ですもの♪それとね私………』




漆世は小野田をギュッと抱き締め妖艶な表情で待宮を見つめると













『私……貴方程度の男じゃ満足できないの♪坂道君や総北の皆の様な男じゃなきゃ駄目なのよ♪』



待宮「っ────……;////言うてり……;」






そのまま待宮は下がっていった。漆世は膝から血が出ている坂道の手当てをしながらさっきのことを褒める。






『よく言ったわ坂道君……』

坂道「姫先輩;///」

『坂道君も男ね♪本当にかっこ良かったわ♪そうね?さっき言った通りロードレースに必要なのは自転車よ!?………だから貴方は踏みなさい…足が千切れそうになっても……仲間の思いを一緒にのせて踏みなさい♪』


坂道「はいっ;///」






手当てが終わると坂道の頭をそっと撫でた。そして金城の所に行くと先程待宮が触った手にアルコールをかける。近くにいた巻島、田所も心配して近寄ってくる。


金城「漆世…平気か?」
巻島「何なんショあいつ;!!」
田所「漆世、胸触られてたけど平気か?」


『っ─────………ひっく;』





我慢していた涙が金城達の優しさで溢れてきた。漆世の大きな蒼い瞳からポロポロと涙が流れる。それを見た箱学の新開や荒北、東堂、福富も近付いてきた。





福富「姫宮…大丈夫か?」

東堂「本当にけしからん奴だな!!」

新開「俺だって触ったこと無いのに…」

荒北「あってたまるかバカちゃん!!」

『みんな……ひっく;』


金城に頭を撫でられ巻島に涙を拭われ漆世は直ぐに落ち着き、涙も止まった。そして






『ねぇ真ちゃん……ヘッドショット決めるから殺ってきても良いかしら?』

金城「………;駄目だ。」

田所「漆世のその発言は冗談に聞こえねぇよ;」

巻島「しかも絶対に成功するっショ;」

『足取りが掴めないくらい完璧にこなす自信ならあるわ。』

東堂「漆世よ……;気持ちは解るが落ち着くのだ;」

『だって私!!胸触られたのよ!!彼氏だっていたことないしそう言うのって好きな人が初めての経験になるはずでしょ!!こんなのってあんまりよ!!1発だけで良いから!!』

金城「お前はその1発で必ず仕留めるだろ;!!」







そう皆に言われ拗ねたように口を尖らせる漆世。そして金城の手を握りしめると





『真ちゃんもいいようにされてちゃダメよ!!イケメンの坊主だからってすぐにホモに目をつけられるんだから!!』

金城「何の事だ;!!」

『でももし……貴方がホシを取られたって言うなら私のをあげるわ♪だから気にしちゃダメよ?あっ福富君もよ?でも貴方に関しては真ちゃんへのホモフラグが立ってるから…』

新開「漆世;……あまりうちの寿一を苛めるのは止めてくれ;」

『ふふっ♪ごめんなさいね?まぁでも真ちゃん………彼がこのタイミングで出てきたのは十中八九、意味があるわ?あれだけのパフォーマンス……この場にいる皆が彼を認識した。そこに意味がある……私が言いたいこと…解るわよね?』

金城「……………あぁ。」





そう言う金城の頬を掴むと漆世は顔を引っ張りオデコにキスをすると微笑み



『bambino buono♪貴方達ならやれるわ♪仲間を信じて……自分信じて踏みなさい♪』













こうしてインターハイ最終レースかスタートした。




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