*弱虫ペダル*

□*16
1ページ/5ページ








1年ぶりに帰る家、自分の部屋にいけば埃1つ無く綺麗に掃除されていた。そして制服もクリーニングに出され綺麗にクローゼットにかけてあり漆世が隅々まで手入れをしていたのが良く解った。本当に優しい姉だ。そんな、優しい漆世に寂しい思いをさせたことを更に思い知らされる。漆馬は朝食を取り、久しぶりに総北高校の制服に袖を通すと愛車のビアンキに股がり学校へ向かった。














懐かしい景色に自然と笑みが溢れる……変わっていない町並みと変わっている人達……今日は少し寝過ぎてしまい今は2時限目の途中だろう。久しぶりに会う純太、一、公貴の事を考えると胸が踊った。そして何より坂道に会うのが楽しみでならなかった。










そうこう走ってると学校の裏門坂に着く、良くこの坂を巻島と登ったな…と思い出に浸る。そして今は一人…ペダルを漕ぎ始めた。あの時とは違う……













━━━━━━━………




『6分だい……うん。良いペース♪』





時計で確認し、漆馬は登ってきた道を振り返る……ソコには壮大な景色が広がる。帰ってきた……染々と感じた。少しの感傷に浸るとビアンキを自転車部に置き、ゆっくり校庭を歩く……そして
















『純太ーっ!!一ーっ!!公貴ーッ!!ただいまぁ♪』







そう大声で叫べば授業を受けていた生徒達や教員は何事かと外を除く、そしてその中に見知った顔が











手嶋「Σ漆馬ッ;!!」
青八木「…………;」
轟「Σ漆馬ッ;!!お前何して!!」






『あははッ♪ただいま純太、一、公貴♪今帰った♪元気にしてた?』






漆馬がそう手嶋達に手を振っていると職員室から猛スピードで走ってくる影が……そして












矢倉「ただいまじゃねーよ!!このバカ漆馬!!テメー今まで何処にいたっ!!」





飛び掛かってきた矢倉を交わすと漆馬は嬉しそうに笑い





『やぐっさんも久しぶり会いたかった♪元気そうで何より♪所であの口説き途中のOLはどうなったの?』

矢倉「会いたかったじゃねーよ!!それとその話は出すんじゃねーよ!!お前のせいでどんだけ周りに迷惑かけたと思ってんだよ!?」





《ピンポンパンポン♪………漆馬ーっ!!今すぐ校長室に来いッ!!》




━━━ブチッ……




『「……………」』






漆馬はネクタイを矢倉に引っ張られながら校長室へと向かった。









それから二時間、説教を受け話を聞かれ漆馬は解放された。だがその話の中には漆馬は総北高校の期待の星なんだとか校長や教頭は熱弁し漆馬に言ってきた。漆馬はソレを笑顔で受け流していた。それが解っている矢倉は漆馬と自販機に行くと珈琲を買い、漆馬に投げるとそれを受けとる。










矢倉「しゃーねーから奢ってやるよ。」

『やぐっさんて何だかんだ俺に甘いよね?別に俺なんかに気を使わなくて良いよ。慣れてるし……』




漆馬は賢い…校長達は漆馬を心配しているのでなく自分達の事しか考えていない。自分達の保身のためにぐちぐちと言っていたんだ。天才児である漆馬の頭脳が大事で。







矢倉「まぁ…ぶっちゃけあんなじじぃどもの話なんざ耳に入れなくていいと俺は思ってるだがな?お前の事を本当に心配してた人達の事も考えろよ。」


『やぐっさんとか?』


矢倉「チッ……そうだよ。あとお前の大好きな姉ちゃんとかな?」


『すっげー怒られてすっげー泣かれた。いやぁ……あれを見たら俺、馬鹿な事したなぁって思ったね……ふっ♪やぐっさんも心配してくれたんだ……俺、やぐっさんのそ言うところ好きだぜ♪』

矢倉「ガキが口説くにゃはえーんだよ。」





矢倉の言葉に漆馬はははッと笑うのだ






矢倉「あーあとお前が帰ってくることを想定してお前は俺のクラスだから。」

『マジで?ラッキー♪ねぇやぐっさん、そのクラスに自転車部はいる?』

矢倉「あぁいるぜ。小野田坂道と今泉俊輔がな。」





小野田の名前に漆馬は目を輝かせた。マジで!!と大喜びする漆馬を矢倉は怒鳴り次の授業は矢倉の担当で漆馬に自己紹介させると言った。何て偶然……この偶然に漆馬は感謝せずにはいられなかった。













━━━━━━…………












矢倉「授業を始める前に今まで家の事情で休んでた奴を紹介するなー。、まぁさっき校庭で叫んでたから何となくは解ると思うが……んじゃ入れ。」






ガラッとドアを開けるとクラスがざわついた。女子は黄色い声をあげた。






「えー///ちょーイケメン♪」
「転校生かなぁ///」
「えっ//外国人///」
「背たかーい///」
「格好いい///」





等の声が聞こえる。そんな女子達に漆馬は、笑いかければ顔を真っ赤にしていた。可愛いと思う。そして







『初めまして♪姫宮アーロン漆馬です。イタリアと日本のハーフです。訳あって1年ダブったけど…一歳上とかそう言うの気にしないで仲良くしてくれたら嬉しいです。漆馬って呼んでくさい。これからよろしく♪』




矢倉「見た目バリバリ外人だけどガッツリ日本人だからなぁ…んで苗字聞いて解ると思うが去年卒業した姫宮の弟だ。コイツ自体、気さくなやつかだから年とか気にしないで仲良くしてやってくれ?んじゃ漆馬、席は小野田の隣な?小野田!?手上げろ!?」


小野田「Σはっ;はいっ;!!」








少し高めの声は緊張か驚きで振るえていた。くりっとした瞳、大きな丸メガネ……巻島や金城達の話に聞いた通りの人物がそこにいた。漆馬は小野田に会えた感動のあまり









『Lei e SAKAMITHI?Verso la cosa reale e molto carino che ascoltare la storia ?E , stai eseguito per la squadra , ma cosi petite ?Stavo tornando perche volevo correre con voi .♪』



小野田「あのっ;えっ;|||そのッ;|||」



矢倉「漆馬っ;!!ばかっはしゃぎすぎだ;小野田がビビってるじゃねーか!?」










会えたことが嬉しくて漆馬は小野田に詰め寄りイタリア語で話してしまい小野田に少し怖がられてしまった。やべっ;と反省すると漆馬は小野田に微笑み











『えっとごめんな?坂道……ちょっと会えたことが嬉しくてつい……後でゆっくり話しようぜ?よろしく坂道♪』


小野田「はっ;はいっ;////」





その微笑みを見たクラスメイトは男女関係なく頬を染めていた。それを見た担任の矢倉は溜め息をつき…この天然タラシが;……と小さな声で呟いた。そして授業が終わりお昼になると漆馬は女子達に囲まれ、質問攻めに会う。













「漆馬君てあの漆世先輩の弟なの;///」
「兄弟揃って美形なんだね;///」
「ねぇー海外って何処にいたの?」
「漆馬君てハーフって言うより外国人だよね;///」







色々な質問を丁寧に返し漆馬は更に好感度が上がっていた。そして思い出したようにごめん、ちょっと行くところがと言い教室を出る。だがソコには3年の女子が群がっていた。









「漆馬おかえりー////」
「会いたかった漆馬///」
「漆馬に合えなくて寂しかった///」

『ははつ♪ただいま!?俺も皆に会えて嬉しいよ♪』



そう言って微笑めばきゃー///と黄色い声が辺りに響く。そんな3年の女子達に用事があるから行くな?と言いその場を後にすると漆馬は3年の教室に向かったそして…












━━━━━━━━…………






『純太♪一♪公貴♪』

手嶋「漆馬ッ;!!お前今まで何してたんだよ!?」
轟「姫先輩がどんだけ心配したか解ってるのか!?」
青八木「………。」



『手紙に書いた通り修行だよ。姉さんにはすっげー泣かれたし怒られたよ公貴。一♪ありがとうな?ただいま♪』





そう言うと漆馬は抑えきれなくなり3人にぎゅーっと抱き付いた。








━━━━━━━…………



場所は変わり自転車部の部室。









次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ