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□*TURUGI
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季節は春、冬の寒さが抜けだんだん暖かくなってきたが夜は少し冷える中、彼女は1人夜道を歩いていた。







『あ゙〜年寄り達に付き合うと大変だ〜………でもお金もってるだけあって良いお酒だったなぁ♪凄く美味しかった♪』





手にお土産らしき酒瓶を握りしめ。酒の肴も高い店なだけあって美味しかった。と呟きなが彼女は灯りも持たずに歩いていた。今日は仲の良い同業者との飲み会だった。気兼ねない友人達の集まりなので酒が進みホロ酔いの竜胆であった。







今の時刻は丑三つ時、魑魅魍魎が活発に動く時間だ。霊力が高いぶん、そう言ったものはよく見える、相手もまた竜胆は美味しい餌に見えるだろう。そうそう襲っては来ないだろうと鼻唄を歌いながら陽気に帰っていると前方からボンヤリした灯りがこちらに近付いてくる。







反射的に少し構えたがその光が何か解ると警戒体制をといて、こちらに向かってくるモノを迎えいる。







『こんなところまでどうしたんだい光忠?』



燭台切「どうしたんだい?じゃないよ、帰りが遅いから心配で迎えに来たんだよ。」



そう言って手に持っていた提灯を高い位置に上げ顔が見えるよう照らしていた。黒を基調とした燕尾服の伊達男、彼は竜胆の刀である燭台切光忠だ。飲み会で遅くなった竜胆を心配して迎えに来たのだ。そんな光忠に竜胆は抱き付くと






『光忠は優しいなぁ。迎えに来てくれてありがとう、とても嬉しいよ?』



燭台切「まったく君は;………主を心配するのは当たり前でしょ?それに君は女の子なんだからこんな夜更けに1人でなんか危ないよ。」



『そうだね。でも危ないのは光忠だって同じでしょ?夜目も利かないのに敵や妖怪にでもあったらどうするつもりだったんだい?』






そう笑いながら言うと、少し拗ねたようにそれでも心配だったからと言う光忠に竜胆はしゃがむよう言うと方膝をつく光忠をまたぎゅっと抱き締めると







『フフッ♪光忠は格好いいね。本当に来てくれて助かったよ。どうやらタイミングよく、現れたみたいだから………』
燭台切「ッ──────………」





前方から異質な空気が流れてくる。光忠は竜胆を庇うように前に出ると刀を手にする。






『んー………あれは鬼女か?』




鬼女とは嫉妬で怒り狂い生き霊となった女の霊に下位の悪霊、妖怪達が1つになり力をつけたモノだ。





燭台切「強いのかい?」

『光忠なら斬れるよ。ただ、目が見辛いのは分が悪い。光忠………』


燭台切「わっ;!!」



竜胆は光忠の襟を引っ張ると眼帯をしていない方の瞼にキスをした。



燭台切「Σナニッ;///えっ;!?」


『どう?よく見える?』


燭台切「うっうん;。昼間みたいによく見えるよ。でもどうして…」



『何、大したことないよ。私の目を貸しただけ。色んなものが見えるだろ?』





色んなモノ、そう普段竜胆が見ているものが今の光忠には見える。正直、これは酷いと思った。妖怪はもちろん、落武者や赤ん坊の抱いた女の霊や自殺した者の霊、この世に未練を残したモノ達がウヨウヨいた。それらは一様にして皆、ひどい姿で怨みを口にしていた。




燭台切「ねぇ;コレ僕にも切れるの?」

『今の光忠なら問題はない。ほらっ構えて来るよ。』

光忠「っ;─────………」




鬼女は髪を振り乱し光忠に襲い掛かってきた。鋭く尖った長い爪で光忠を切り裂こうとしている。その爪を刀で受けるが相手も中々、力が強かった。だがそこで競り負けることはなく蹴りを腹に入れ間合いをとった。







『鬼女は任せたよ。私はこっちを相手にしているから。』


光忠「オーケー。終わったらすぐ加勢するから待っててね。」





加勢するからと言う光忠に竜胆はフッと笑うと印を組み詠唱すると浄化の力を放ち集まってきた悪鬼達を一掃した。加勢するまでもない、竜胆は当代一の祓い屋なのだから。それでも加勢すると言われるのは嬉しいのだ。






先に片付けた竜胆は忠光の方を見る、何分初めて戦うモノだから少し躊躇が見える。無理もない、女は涙を流しながら愛しい男への嫉妬を口にしていた。







鬼女「どうして!どうして私だけじゃダメなの!他の女の所へ行かないで!私だけを愛して!私だけを………‼」


燭台切「ッ;──………‼君にそんな怨み言を言わせるような奴、いったいどこがいいんだい;!!」


鬼女「あの方だけだった‼あの方だけが私を見てくれた‼あの方だけが私を美しいと……愛おしいと言ってくれた‼なのに…なのになぜ‼」





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