*弱虫ペダル*

□*06
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『ねぇ今泉君?真ちゃんが貴方に言った言葉を覚えている?』

今泉「えっ?」

『真ちゃんは今泉君にこのレースで成長しろって言ったでしょ?このインターハイは貴方にとっての心身共に成長する場なの……それとね総北は強いわ。そして真ちゃんも迅ちゃんも裕ちゃんも鳴子ちゃんも坂道君も……皆、貴方の仲間よ?倒れそうになったら支えてくれる…大切な仲間。だからその仲間を信じて?過去に何時までも囚われていてら前には進めない。翔ちゃんとの過去を切り捨て前を見なさい。貴方なら絶対に出来るわ?』



今泉「姫先輩………っ────………;」








──────…………







落ち着いた今泉、そろそろ帰ろうとバイクをおいた場所に戻る。すると今泉に漆世先輩っ……と呼ばれ振り向くと今泉に抱き締められる。一瞬驚いたが漆世はそんな今泉を抱き締め返す。






今泉「さっきはありがとうございます。」

『私なんかじゃ頼りないでしょ?でもね?私は貴方達と共には走れない……でも思いは一緒よ?貴方達の支えになれたのなら凄く嬉しいわ♪』









漆世はとても優しく暖かい人だ。日溜まりのように眩しくて暖かい……漆世の傍は心地が良い。






今泉「すみません………少しだけ…こうさせてください。」

『うん。』








彼もまた、このインターハイで大きな成長を遂げる。最高のシナリオが揃っている。真ちゃんが今泉に言った言葉を大きく上回るような成長を………。漆世は今泉を抱き締め返すと彼の気の済むまでずっとそうしていた。そんな二人を見ていた人物が居るとは知らず……













─────────………






解っているつもりだった。漆世が敵である事を……それでもいざ目の前にするとこうも心が揺れるとは……









新開「あーくそっ……心臓いてーよ……」







新開はたまたま、コンビニに買い物のために一人で来ていた。すると漆世の愛車、ワルキューレムーンがあり何処かに漆世が居ると解ったら探さずにはいられなかった。そして見つけたとき漆世は同じ総北の1年の男子を抱き締めていた。その事に新開はひどく動揺しその場を去った。ホテルに戻ると同室の東堂、それに遊びに来ていた荒北と福富がいたが目もくれずにベッドにダイブした。様子がおかしい新開に福富はどうかしたかと聞く








新開「俺さぁ……漆世が箱学のマネージャーだったらって結構本気で考えるんだよな…」

福富「姫宮か?……アレは優秀だから良いサポーターになっただろうな?」

東堂「そうだな♪漆世が箱学のマネージャーだったら楽しいだろうな♪それに美人なマネージャーがいるだけでやる気が出る!!」

荒北「んで?何が言いたいのォ?」





新開は起き上がると枕を抱き締めながら先程の事を思い出す。漆世の性格上……弱っている仲間は放ってはおけない。自分に出来ることなら何でもするのだろう………





新開「漆世はさ……厳しいけど優しいんだよ。きっと俺が泣いてたら泣き止むまで傍にいてくれて…抱き締めてって言ったら抱き締めてくれる……そう言う子なんだよ。相手のために全力で助けようとしてくれる……例えそれで身を捧げるんだとしても。……」










総北が羨ましい……何も言わなくても漆世が傍にいて、抱き締めてもらえる。だからこそ新開は苦しいんだ。






新開「もー漆世……俺の彼女になってくれないかなぁ。」

福富「む?何だ…新開は姫宮の事が好きなのか?」

東堂「いやいや!!漆世はこの俺にこそ相応しい♪」

荒北「うっぜ!!つかキメェ!!新開もよォー女々しいんだよ!!仕方がねぇだろ!!漆世チャンは総北のマネージャーで俺らの敵なんだからよォ?まっ自転車を降りればちげーけど!!………それに俺だって…;」









ほら漆世は魔性だ。箱学のメンバーですら虜にしてしまう。本当にライバルが多くて厄介だ。
















その頃、宿に着いた二人はバイクを降りると







『ねぇ今泉君?もし君が走る理由が欲しいのなら……総北の為に走りなさい。仲間のために6枚のゼッケンを信じて……ねっ?』


今泉「姫先輩…………はいっ。」















私は貴方達に可能性を見てしまったの。今はその悔しさをバネにしてペダルを回しなさい……それがいつか必ず報われるから














その日、漆世は金城、田所、巻島と同室で眠った。














end
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